第63話オーク討伐

私達は川岸でお昼を食べ終わり、オークを探すために森に入る用意をし始めた。

 私はスパゲッティのお皿を洗い、ストレージにしまっている間にアベルは周りの警戒をし、マーナは飲み水の組むため水袋で川の水を汲んでいた。

 私が用事を済ましたことに気付いたアベルは、私に近づき。


「もう移動できるか?」と聞いてきたので。


私は頷き立ち上がった。

 マーナはすでに水を汲み終わっていて、周りの様子を確認していた。

 そんなマーナが私達の居る場所に、急いで走り寄って来た。

 走り寄って来たマーナの顔は真剣で、何かに気付いたように後ろを気にしていた。

 私は(探査)でそちらを確認すると、6体の反応が近づいて来ていた。


マーナは私達の所まで来ると、真剣な顔で小声になり。


「何体か魔物が近づいて来てる、木の間から見えた姿はオークだと思う」


マーナの報告を聞き、私達はマーナの向く方向を見ると、ガサガサと藪を掻き分けて、2m半はありそうな巨体が森から出て来た。

 その顔には豚の鼻が付き、口からは牙が2本突き出していた。

 その身体は筋肉質だが腹にはたっぷりと脂肪が蓄えられているようだった。

 その腕には少しサイズの小さな剣を持っている物や、その巨体に見合う剣を持っている物と、武器がチグハグだった。

 見た感じ装備は整っていないわね、武器もどっかで拾ったのか冒険者から奪ったような物しか持ってないし、着ている物なんて腰蓑だけだ何て、もしかしたらゴブリンより楽に倒せるんじゃない?


私は森から出てきたオークの装備を見て、大したことないなと思ってしまった。


「数が多いな・・・慎重に倒そう」


アベルの言葉にマーナは頷き、弓を弾き絞った。

 私はアベル達に『ブレッシング』と『リジェネレート』を掛け様子を窺ていた。

 オークたちは私達が居ることに気付くと、全員で突進してきた。

 そのスピードはウルフより遅く、マーナは狙いを付け一射目を射った。

 マーナの打った矢はオークの影に命中して、1匹のオークの動きを止める。

 マーナが矢を射っている間に、アベルも風刃を放った。

 アベルの風刃は1匹のオークの頭を狙ったようだが、頭に当たらず右肩に当たった。

 風刃の当たったオークは、肩口を押さえ、止まって傷の様子を確認するような仕草をした後。


「ブゴオオオオオ!」と吠えてアベルに向かって走り始めた。


そうしている間に、マーナはもう1射射ち、もう1匹のオークの動きを止めていた。


「やっぱこの弓使えるね、敵の動きが止まるから、敵が多いと助かるよ」


マーナがそんなことを言いながら少しずつ下がり、後ろを取られないように警戒をし始めた。

 マーナの話を聞いている間に、オークはアベルと私の前まで接近していた。

 私はオークの突進を受け止めるために盾を前に出し、身構えると直ぐにゴンとオークが盾に当たる感覚がした。

 私が盾でオークを受け止めている間に、アベルは剣でオークを受け止めようとしたが、オークの膂力に剣ごと軽々と跳ね飛ばされてしまった。


「う、あああああぁぁ!」


アベルは3mほど飛ばされ川に着水して、激しい水しぶきを上げていた。


「「アベル!」」


私とマーナが同時に声を上げると、川の中からアベルは手を上げ無事であることを知らせてきた。

 アベルの無事を確認した私は、受け止めたオークに、メイスを頭に当たるように、少し飛び上がりながら、上段から振り下ろした。

 ベキャ!私が振り下ろしたメイスに当たったオークの頭は、首ごと胴体にめり込み吹き飛んだように、見事に無くなっていた。

 

私が1匹倒している間に、マーナがオークに矢を放ち、1匹の視界を奪うように目を的確に射貫き行動不能にしていた。

 私はマーナの動きを確認して、私に向かってくるオークの頭に、メイスを横なぎに振り抜くと、オークの頭が綺麗に首から切り離されたように遠くに吹き飛び転がった。

 私がオークに攻撃している隙を狙って、他のオークが襲い掛かてくるが、襲い掛かって来たオークを盾で受け止め、的確に頭を殴り飛ばした。


私が3匹倒している間にマーナも1匹倒し、残りはマーナが影を射抜き動きを止めたオークだけが残った。

 

「すまない、オークの膂力に吹き飛ばされた」


ずぶ濡れになりながら、アベルがそう言いながら近づいてきた。


「じゃあ、後動いてないオークだけだから、チャチャっと片付けてよ」


マーナがそんなことを言いながら、オークの方を指さすと、アベルは渋々そちらへ歩いて行った。

 アベルが動けないオークを倒している間に、マーナはオークの解体を始めた。

 私は辺りを警戒しながら、オークの解体を見ていた。

 メビロじゃ、解体なんてしなくてもアイテム手に入ったからな~、私も解体できるようにならないとダメかな?死体は一定時間残ってたから大丈夫だけど、解剖とか学校の授業でもやらないからな~、食べるためだもの、できるようにならないとダメよね。

 私は覚悟を決めてマーナに教えてもらおうと、声を掛けた。


「マーナ解体の仕方教えてくれない?」


私がお願いすると、マーナが吃驚したような顔をしてから、笑顔で「いいよ~」と答えてくれた。

 私はストレージからナイフを取り出し、一度手を合わせてからマーナに指示してもらいながら、皮を剥ぎ始めた。

 皮を剥ぎ始めたのはいいけど、これ凄い重労働じゃない?ナイフ動かす動作小刻みに何回もしなきゃいけないなんて、物凄い腕に負担がかかるんだけど、う~筋肉痛になりそう。

 私は皮を引っ張りながら少しずつ肉と切り離していく、切り離すのに慣れていないために皮に皮質が余分にくっついちゃて、肉もなんかギザギザ、慣れてないからって言ってももったいないわよね。

 この皮脂があれば油がとれるはず、そうすれば揚げ物が作れるわよね、揚げ物よ絶対美味しいから広めたいわよね、そのためには皮脂は貴重よ。

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