第62話お昼ご飯はスパゲッティ
休憩を取った私達は、森に入ることになった。
「ワーラントがこんな所にいるなんて、何か森であったのかな?」
アベルの不思議そうに呟きに、マーナは真剣な顔になり。
「あんな化け物と何回も戦うなんて、あたしヤだからね」
マーナが不満を漏らすので、アベルは苦笑いをして。
「じゃあ、早めにオークを倒して帰ろう」
アベルの提案にマーナも私も頷き、森の中に入っていった。
森の中は木の陰になって、見晴らしは良くなかった。
日の光も木が茂っているため薄暗く、時々聞こえてくる鳥の声や動物の鳴き声が、少し不気味さを漂わせている。
う~薄気味悪いわね、幽霊系のモンスターは怖く無いんだけど、森の中ってことは虫系の魔物がいる可能性もあるのよね。
ここにアレがいないことを願うわ、あれは人類の敵と言っても過言じゃない、最低でも全女性の敵よ!
蜘蛛や蟻までならいても気にしないは、顔怖いけど・・・。
蜘蛛や蟻ならアレに比べたらかわいい物よ、メビロ時代にデッカイ黒い悪魔と出くわした時は、ゲームだって分かってたけど全力で逃げたもの。
それに比べたら、全然よゆーよ、それに蜘蛛って布の原料になる糸落とすのよね?布屋で買った布が確か蜘蛛の糸製だったはず、なら私のスキル裁縫にある糸生成で糸束作れるかしら?
そう考えると顔怖いけど、蜘蛛もそんなに悪くないわね。
私がそんなことを考えていると、マーナがいきなり立ち止まり弓に矢を番えた。
マーナが放った矢が、薄闇の中に吸い込まれるように消えていき。
「キュィ!」と言う小さな悲鳴が聞こえた。
私達はそちらに近づくと、矢の刺さったホーンラビットが1匹倒れていた。
息も絶え絶えのホーンラビットに、マーナは近づき止めを刺した。
「ラッキー♪ホーンラビットは食肉として買い取って貰えるから、お小遣いになるんだ」
マーナは喜びながら右手に持ったホーンラビットを掲げ、私達に見せた。
マーナはホーンラビットを手早く解体し、残ったのは肉と毛皮、それと角だけだった。
私はマーナの解体したホーンラビットをストレージに仕舞い、辺りを(探査)で確認した。
(探査)には血の匂いを嗅ぎ付けたのか、幾つかの反応があったので、私はアベル達に。
「何体か、何か近づいて来てるみたいです」
私がそう報告すると、アベルは剣を構え辺りを見回し、マーナも弓に矢を番え辺りを確認して、魔物がいないか確認し始めた。
私達が警戒していると、下草を掻き分けて魔物が姿を現した。
血の匂いに引き寄せられたのか、ウルフが4匹藪から顔を出しこちらを威嚇し始めた。
ウルフが藪から顔を出したと同時に、マーナが矢を射った。
マーナの放った矢は、的確にウルフの眉間を撃ち抜き、矢はウルフの後頭部から、飛び出すほどの威力で突き抜けた。
一匹ウルフが倒れたが、他の3匹のウルフは、そのまま走り近づいてきた。
アベルは近づいてくる1匹へ、風刃を放ち一匹の足を四本とも切り落とし、ウルフは勢いよく地面を転がり。
2匹が脱落して残り2匹は1匹をマーナの矢で射抜かれ、最後の1匹はアベルに噛みつこうとしたが、軽々と避けられ一刀の元に首を切り落とされてあえなく絶命した。
「なんか、身体が軽い、前戦った時よりウルフが弱く感じる」
「そうよね、あたしも遅く感じた」
アベルとマーナが戦闘の感想を言い合い、不思議そうにしていた。
確かにマーナの弓の威力は上がってたし、アベルの動きも早くなってた気がするわね。
私にはレベルはあるけど、アベル達にもあるのかしら?(鑑定)でも人のステータスは覗けないから分からないのよね。
もしレベルがあるのなら、さっきのワーラント戦の経験でレベルが上がったのかもしれないわね。
私は考え事をしながら周りの警戒をしている間に、アベル達がウルフの解体をし始めた。
手際の良い解体で、次々とウルフを解体してしまった。
解体されたウルフの素材は、私のストレージに入れて、オークを探して森の中を探索し始める。
ウルフを倒してから、さらに森の奥へ進んだ私達は、山から流れる川の岸にたどり着いていた。
森の澄んだ空気と川のせせらぎが気持ちいい、水も澄んでいて飲むこともできそうだった。
暖かい日差しも差し込み、遠くには野生の動物が水を飲んでいる光景が窺えた。
「ここで昼にしないか?」
アベルの提案に私もマーナも頷き、私がストレージから食事を取り出した。
今日のお昼は何にしようかな?ストレージの中を漁り料理を探す。
あ、これなんか良さそう、こっちの世界じゃ見たことない。
私はストレージからミートソースが掛かったスパゲッティを取り出した。
ミートソーススパゲッティ
プレイヤーマリアが作った料理、トマトからしっかり煮込み作り出したミートソースの掛かったスパゲッティ
効果 HP、MP、AGI、STRを120秒間だけ500上げる
私が出したスパゲッティを見たアベル達は、手渡されたスパゲッティを不思議そうに見つめながら。
「これ、食べ物か?いい匂いはするけど、どうやって食べるんだ?」
アベルが不思議そうに聞いてくるので私は実演も兼ねて、フォークでクルクルとパスタを絡め口に運んだ。
トマトの酸味とミンチにした肉の旨味、トマトの甘味が一体になって口の中に幸福感を与えてくれた。
私の食べる様子を見て、アベル達はぎこちなかったがフォークにパスタを絡めて口に運んだ。
「美味い!このつるつるの長いのと上に乗ってる具を一緒に食べるとスゲー美味いな」
「ホント美味しい、初めてたべるこのつるつるなのも美味しいわ」
二人はそう言いながらもフォークを止めず、一心不乱にパスタをフォークに絡め食べていた。
最初はぎこちなかったが食べている間になれたのか、かなりスムーズにフォークをパスタに絡めていた。
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