第55話身分の良さそうな客

マーナとどんな服が欲しいか、どういう服がかわいく見えるか聞いて見た。

 マーナとおしゃれの話に花が咲き、色々服を出しては着替えて楽しんだ。

 その中で意外だったのは、マーナがセーラー服に興味を示したことよね、てっきりお姫様系のドレスに興味を惹かれるものだと思ってけど?

 不思議だったから聞いてみた。


「何でドレスじゃなくて、セーラー服が良いの?」


「ドレスより動きやすいし、かわいいから、あたしは好きだな~ショーツ履けば捲れても余り気にならないから」


マーナに聞いたんだけど、この世界下着付けないらしいのよね、だから丈の長いスカートか冒険者の人はマーナみたいにホットパンツを履いている人が多いみたい。

 お?これはぬいぐるみに続き売れそうな予感・・・丈の長いスカート履いてても強風で捲れることは有るわよね、よ~し一度マーナに作ってみてマーナに値段決めてもらおう。

 普通の服が50000ローンもしてたから、100000ローンはしても売れるかもしれないわね。

 私が考え事をしているとマーナがお腹を押さえながら。


「もう夕飯の時間だね、食堂行こう」


マーナに言われた私もお腹が空いてきた。

 マーナと一緒に1階の食堂へ行った私たちは、アベルを探したがどこにもいなかったので、一瞬首を傾げていたけど、自分で訓練の木剣を渡したことを思い出して。

 マーナと一緒に宿の裏手にある庭に出た。

 そこでは一心不乱に剣を振るアベルが汗だくになりながら訓練していた。


「アベルご飯にしよ」


マーナがアベルに声を掛けるとアベルは木剣を下ろし。


「ああ、分かった、汗流してから行くから先に行っていてくれ」


アベルは私たちにそう言うと井戸が有るほうに歩きだした。

 私達はそれを見送ってから食堂へ戻っていった。


食堂は夕飯時だからかかなり人がいて、アイナちゃんとナタリーさんが忙しそうにテーブルの間をトレーを持って歩いて居た。

 私達は空いてる席に座るとアベルが来るまで服の話をしながら雑談し始めた。

 私達が雑談をしていると今日初めて泊まった人かな、アイナちゃんの背負っているぬいぐるみが気になったのか、アイナちゃんに話をして、アイナちゃんが私を指さすとそのお客さんは私達のいるテーブルに近づいてきた。

 

男性は身なりの良い何処かの制服のような服を着た、金髪茶眼の痩せ細った体型だった。


「歓談中失礼します、お嬢さん、宿屋の娘さんに聞いたのですが、あの人形は彼方があの子に与えたと聞いたのですが間違いありませんか?」


男性は丁寧な口調で問いかけてきたので、私も丁寧に頷き。


「あれは私が渡した物に間違いありません」


私の答えに男性は頷きながら笑顔で。


「わたしにも同じものを売っていただけませんか?」


私は男性の提案に。


「まったく同じ物はさすがにお渡しできませんが、幾つか私が作ったぬいぐるみがありますので、そちらをお売りしますよ」


私は言いながら幾つかテーブルにぬいぐるみを出すと、男性は手に取りながら。


「確かに、ですがこちらの物と宿屋の娘さんが持っている物では、出来が違うようですが?」


良く分かったわね、なかなか見分けれる人も少ないと思っていたのだけど。


「あちらのぬいぐるみだと少々お高くなりますがよろしいですか?」


私が渋りながらそう言うと男性は自信満々に「いくらですか?」と聞いてきたので。


「1千万ローンでお売りしますよ?」


私の提示した値段に男性は驚き。


「い、1千万ローンですか?それはさすがに高いのでは・・・」


男性が値段に絶句してしまったようだけど、私はこれでも安いと思ってるのよね。

 だって録音機能が付いていて、しかも一回だけだけど死亡しても復活できるなんて、1千万ローンでも安いくらいだと思ってるんだから。

 この世界リスボーンができるわけじゃ無いんだもの、あのぬいぐるみの価値は計り知れないと思うのよ。

 私が考え事をしている間にも、男性は悩むように顎を摩りどうするか考えていたが、決心したように頷き。


「分かりました、買いましょう・・・」


男性が渋々といったようにそう言ったので、私は使い方を説明するために男性の耳元に口を近づけ説明をし始めた。


「あのクマのぬいぐるみは右手を握ると声が吹き込めます、そして左手を握ると吹き込んだ声が聞こえるようになっています。

 そしてもう一つ、あのぬいぐるみは持ち主が死亡しても一度だけ復活させてくれます。

 これがどれだけ価値があるか・・・彼方でしたらお分かりになりますよね」


私がぬいぐるみについて説明すると、男性は目を見開いて私の顔を見つめ信じられないという顔をした。


「それが本当なら安いですよ!そんなものを宿屋の娘にあげてしまうとは、正気ですか?」


男性は必至で声が大きくならないように話していたが、興奮で頬が赤らんでいた。

 私は視線を下にしながら、説明し始めた。


「私は大切にしてくれそうな子にあげたかったんです、それにアイナちゃんの笑顔が私にとって一番の報酬ですから」


私は男性の言葉に真剣に笑顔で答えた。

 男性は意表を付かれたように黙り込んでから。


「分かりました」とだけ言い大金貨を懐から取り出し渡してきた。

 私はそれを受け取りながら、ぬいぐるみを男性に渡して取引が終わると男性は。


「では、私はこれで失礼します」と言い残し部屋に戻っていった。

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