第54話寸法
防具の決めた二人に私は手を打合せ、アベル達が私に抜き直るのを確認してから話し始めた。
「そろそろ採寸しますか、まずはアベルから」
私は指示を出しながらストレージから採寸に必要な巻き尺を取りだした。
アベルは何をすればいいのか分からず呆けて立ち尽くしていた。
そんなアベルに私は指示を出した。
「とりあえず服のままで良いですよ、こちらの用意が出来たら測り始めますね」
指示を出した私はストレージから紙とペンそれとクリップボードを取り出した。
「それじゃあ測るね、まずは肩幅から」
私はアベルの身体に巻き尺を当てて長さを測り、測った長さをクリップボードに挟んだ紙にテキパキと記入していく。
私の動きを見ながらアベルは感心したように。
「手慣れてるんだな、俺なんて手造りの服なんて初めてだから、なんか恥ずかしいな」
アベルが照れながら言うので、私は寸法を測りながら。
「体に合った服は動きやすいですよ、それに着ていて気持ちいいです」
私の説明に、アベルはそう言う物なのかと納得したように頷き、黙って測られるのを待っていた。
私は胸囲を測ろうと思い「腕を上げてください」と言うとアベルは素直に従い両手を上に上げた。
私は失敗したと思い「両手は水平に上げてください」と言い直しながら、手本を見せるために私も両手を水平に上げた。
「何で水平に上げるんだ?」
アベルが疑問を投げかけてきたので、私は止め説明した。
「腕を上げ過ぎると胸筋が上がってしまって、正確な寸法がわからなくなってしまいますから」
私の説明に、アベルは何となくわかったような曖昧な表情をして、両手を水平に広げた。
私は両手を広げたアベルに、正面から抱き着くような形になりながら寸法を測ると、アベルは顔を赤らめ。
「な、何を?」と呟くので私は真顔で「採寸するときは、こういうこともありますので気にしないでください」
私の説明にアベルは頷いてはいたが、顔は赤いままだった。
そんなアベルを置き去りにして、私は腰回りと足の長さ太腿の太さを順番に測っていく。
アベルの寸法をし終わり一段落付いた所で。
「アベルお疲れ、済みましたよ」
私が声を掛けると、アベルは肩の力を抜いてほっとした顔になった。
私とアベルのやり取りを静かに聞いていたマーナは、終わったことを聞き座っていたベッドから勢い良く立ち上がり。
「今度はあたしの番だね」と言うと私の前に立った。
私はマーナの寸法をする前にアベルに向き直って。
「ごめんなさい、マーナには下着も作ってあげたいから、アベルは部屋を出てください」
私がすまなそうにそう言うと、アベルは笑顔で頷いて。
「わかった、じゃあ食堂で暇を潰してるよ」
アベルがそういうので、私は一つ思いつきストレージから一本の木剣を取り出した。
木剣は見た目は普通の木剣だが、一つだけ違う点があった。
木剣の鍔の真ん中に黒い艶のある石が嵌っていることだ、それ以外は普通の木剣と変わらないように見えた。
訓練の木剣
木でできた本体に経験石と呼ばれる石が嵌められた訓練用の剣、この剣で訓練やPVPなどの模擬戦をすると一定の経験値を獲得することができる。
PVPの主流、皆この剣でPVPしてたのよね、経験値も入るしプレイヤースキルも上がるでウハウハよ、剣の訓練のための木剣だから素振りでも一応経験値入るから暇なとき振ってる人よく見掛けたな~。
私が木剣を差し出すとアベルは受け取り「ありがとう」と礼を言って部屋を出て行った。
アベルが部屋から出たことを確認してから私はマーナに抜き直り。
「じゃあ、服を脱いでくれる?」
私が言うとマーナは吃驚した顔をして。
「服の上から測るんじゃないの?」
マーナの質問に、私は首を横に振り。
「マーナの場合は下着も作って上げようと思ってるから出来るだけ詳細なデータが欲しいの」
「下着って必要なの?どういうのがあるの?」
マーナの質問を聞いて、私は自分のストレージから自分の作った下着を出して見せて見た、レースで飾られた色とりどりの下着を出すと、マーナは目を輝かせて飛びついて眺めだした。
「これを作ってくれるの?」
マーナの質問に私は頷きながら「ブラとショーツで3セット位しかできないと思うけど」と言うとマーナは大きく首を上下に振り。
「大事に着るから大丈夫!」
マーナの勢いに私は頷き「じゃあ、測らせて」と言うとマーナは勢いよく服を脱ぎ全裸になった。
私は手際よく全身の寸法を測っていき、トップバストとアンダーバストを測った時、マーナにくすぐったそうに身を捩っていたけど。私は気にせずテキパキと寸法を測っていった。
マーナの全身の寸法を測り終わった私は、データを見ながらどんな物を作るか考えていた。
取り合えずレース付の下着1セットは確実に作るとして、もう2着は動きやすいスポーツタイプにしようかしら?ストレッチ素材が無かったから余り凄い動きに耐えられるか分からないけど、頑張って作ってみましょ。
私はマーナにどんな物が好みか聞くために、ストレージから色々な下着を出して見せて見た。
私とマーナは二人で好みを聞いたり、私のおすすめを紹介してみたりして過ごした。
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