第50話服屋さん
アベル達の買い物が終わり、雑貨屋さんを離れた私達は最後に布を買うために服やに向かっていた。
服屋は中央の噴水の近くに在った。
服の絵が描かれた看板の掛かった扉を潜ると、陳列棚に畳まれた服が何着の置かれ、カウンターの奥には布が何巻も置かれていた。
アベルとマーナは店内を見回しながら。
「俺も新しい服1着買わないとな」
「あたし町で着る服欲し~」
アベル達は呟くと置かれている服を物色し始めた。
私はそんな二人を見ながら、マーナと一緒にこの世界の流行を知るためにおいてある服を見て回った。
「マーナ、どういう服が好きなの?」
わたしはマーナに聞くとマーナは服を手に取り自分に合わせながら。
「動きやすい服の方が好きだよ、だってスカートって長くて歩き辛いし、中見えちゃいそうじゃん」
「なら、私が作ってあげましょうか?好きな布の色を選んでくれれば作れるわよ」
私はそう言うとマーナは持っていた服を置き私のほうに向き直り。
「かわいい服も作れる?」
マーナの質問に私は自分の法衣の裾を摘まみ。
「この服も自分で作った物なのよ?」
私がそう言うとマーナは輝くような瞳になり。
「じゃあ、布選ぶ!」
マーナは言い終わるとカウンターに向かい店員さんに布を見せてもらいだした。
私は少し離れた所で自分の服を選んでいたアベルに近づき。
「アベルも、もしよかったらわたしが服作ってあげるわよ」
私がアベルに近づいて言うと、アベルは嬉しそうに。
「助かるよ、服一着でも30000ローンもするからどうしようか悩んでたんだ」
アベルはそう言うとマーナがいるカウンターへと歩いて行った。
私も早くも二人にどんな服作ろっかな?と考えながらカウンターに近づき布を見始めた。
「いらっしゃいませ」
店員さんが深々とお辞儀しながら来店の挨拶をしてくるので、私もお辞儀して。
「布が欲しいのですけど見せていただいてよろしいですか?」
私が店員さんに話しかけると店員さんは笑顔で。
「どういった物をお探しですか?」と聞かれたので私は。
「肌触りの良い物は有りますか?」
私が聞くと店員さんは頷いて、カウンターの布を置いてある棚から、二巻きの布を取り出してきた。
「こちらはビックスパイダーの糸から作った布とキャタピラーの糸から作った布でございます」
店員さんの説明を聞きながら、私は布を手に取ってみた、厚さは違うビロードとサテンのような肌触りの光沢のある生地だった。
良いわねこれ、これで作ったら下着も気持ちいいかもしれないわね。
ビロードっぽい生地は、ちょっと厚みがあって下着には向かないけど、サテンのような生地は下着にも使いやすいかしら?
もしこの生地がサテンと同じ性質なら吸水性は無いでしょうから、吸水性の生地も買っとかないとね。
「すいません、こちらの薄手の生地を戴けませんか?後、肌触りの良い吸水性の良い生地は有りますか?」
私の注文を聞き、店員さんは小首を傾げながら指を顎に置き考える素振りを見せ、何かに気付いたような顔になると棚に向き生地の中から一巻き取り出してカウンターに置いた。
「こちらなどいかがでしょう?大変、吸水性に優れている生地で肌触りも普通の生地より良いですよ」
私は店員さんの説明を聞きながら、手で触り心地を確かめていた。
この生地なら大丈夫そうね、手触りもリネンに近いみたい、後はここにあるかしら?聞いてみよ。
「こちらの生地もいただきます、後ドレスのスカートを膨らませるために使う素材はこちらにございますか?」
私の質問に少し戸惑ったような顔になり。
「一応、マッコウゲインの髭でしたら一本のみございますが、十万ローンになりますがよろしいですか?」
店員さんの少し躊躇いがちに値段を言ってきた。
私は笑顔で「構いませんよ」と言うと、店員さんは安心したような顔になり。
「以上でよろしいでしょうか?」
店員さんが聞いてきたので、私は横で布を選んでいるアベル達に近づき。
「選べましたか?」と聞くとアベル達頷きながら生地を見せてきた。
アベルは青色の生地でマーナは橙色の生地を選んだみたい。
私はそれ以外の色で3巻き買うことにした。
私がアベル達の分の布もまとめて買おうとするとアベルがすまなそうに。
「良いのか?俺たちの分まで・・・」
「いいのよ、あまった布は私が他に使うと思うから、気にしないで」
私は他にも縫うための糸を買い、私は店を後にするのだった。
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