第51話全身鎧

私達は買い物を終えるともうお昼になっていた。


「おなかすいた~」


マーナがお腹を摩りながら呟くと、アベルも頷き。


「そろそろ飯にしないか?」


アベルの提案に私は辺りを見回してから。


「なら、森の木陰亭に戻りましょうか?」


だってまたぼったくられるのやだし、美味しく無いんだもん。

 私がそう言うとアベル達は頷いて宿へ移動し始めた。

 

宿屋に付いた私たちが扉を潜ると、ナタリーさんが迎えてくれた。


「お帰り、昼だから帰って来たのかい?」


ナタリーさんの質問に私は頷いて。


「食堂お貸しいただけますか?」


私が聞くと、ナタリーさんは笑いながら。


「今の時間ならいくらでも使ってくれて構わないよ」


ナタリーさんの言葉に私はお礼を言い食堂に向かった。

 食堂はガランとしていてどのテーブル使っても良さそうだった。

 私達は適当なテーブルに座ると、私はストレージから食事を出そうとして、ふと今日のお昼何にしようか、考えてなかったことを思い出した。

 何時もサンドイッチじゃつまらないわよね、私はストレージを漁っていると良い物を見つけてテーブルに出した。


ハンバーガー

プレイヤーマリアが作った料理、ミノタウロスの肉おオークキングの肉を使ったパテにトマト、レタス、ピクルスを合わせたオーソドックスなハンバーガー。

効果 HP、STR、AGI、DEXを120秒間だけ500上げる


「今日のは肉を挟んであるんだな」


「美味しそう」


アベル達はハンバーガーを見て感想を言い。


「今日はハンバーガーにしました」


私が料理名を言うとアベルはハンバーガーを手に取りながら。


「ハンバーガーって言うのか」


アベルはそう呟きながら、中身をのぞいていた、私達は手に取り食べ始めた。

 ハンバーガー久しぶりだわ、現実だとハンバーグは作るのに、ハンバーガーって作らないわよね。

 やっぱハンバーガーショップが安すぎるからかしら?これなら今ある材料でも作れそうよね、野菜も買ったし肉も買ったから後はパンだけ。

 パンならナタリーさんに話せば譲ってくれると思うから。


私が考え事をしている間にアベル達はハンバーガーを食べ始めた。


「これも美味いな、マリアの作る料理はどれも美味い!」


「あたし、マリアが男なら結婚申し込んでるわ~」


二人が口々に言いながらすごい勢いでハンバーガーを食べてしまった。

 私もそんな二人を眺めながらハンバーガーを食べ終わると、アベルに装備を見せるためアベル達の部屋へ向かた。

 アベル達の二人部屋は一人部屋より若干広かったが、やはり大半のスペースをベッドが占拠していた。

 私達は部屋に入り、アベルは右のベッドに座り、マーナと私が左のベッドに座った。


「じゃあ、アベルの装備出すわね」


さてどれにしようかな?亡霊騎士シリーズは全身鎧が一番適当かしら?でも全身鎧だから動きにくくないかしら?

 私は取り合えずと思い全身鎧を取り出してみた。

 見事な金の装飾があしらわれ、胸にはこのシリーズ全てに入っている、羽ばたく取りのレリーフが目につく鈍い銀色に輝く鎧だった。


亡霊騎士の全身鎧

HP200 VIT500

古代都市ナスカの亡霊騎士が身に着けている全身鎧、嘗ての栄華を忘れられず古代都市を彷徨う亡霊騎士が成仏するときに落とすことが有る。


アベルは私が出した装備を見つめ、掠れた声で。


「この立派な鎧を俺が付けるのか?」


アベルの問いに私は頷き。


「ええ、こちらでいいならどうぞ」


私が笑顔で進めるとアベルは「じゃあ」と言うと全身鎧を付け始めた。

 私も含め、全身鎧の付け方が解らなかったので試行錯誤しながら、全身鎧を付けていく。

 

全身鎧を付け終わり、私達は一仕事終わったような雰囲気になっていた。


「それじゃ、動いてみる」


アベルはそう言うとガチャッ、足の辺りから金属音がしたが全然動かない、少ししてアベルのうめき声と共に少し引きずる音と共にすり足で足が動いたが直ぐにハアハアと意気が上がったような音が聞こえてきた。


「こりゃ、ダメだ、動けねー!」


アベルがギブアップしたことで私とマーナで全身鎧を脱がせてあげると、汗だくのアベルが出てきた。


「重くて少し動くのがやっとだった、俺にはまだ全身鎧は早いみたいだ」


悔しそうに肩で息をしながらアベルが呟くのを見て、私は全身鎧をストレージに入れ、他に無いかと漁り始めた。

 私はアベルに手ぬぐいを渡しながら、他に良い物は無いかとストレージを漁り始めた。


う~ん、そうなると他は何が良いだろう?在庫が大量に有るから、あの全身鎧出したんだけど、まさか動けなくなっちゃうとは思わなかった。

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