第45話ぬいぐるみ売ろう
ちょっとへインさんが暴走したけど、私はナタリーさんと食堂へ向かった。
へインさんだけじゃないだろ?おまえがいうな?私はいいのよ。
食堂のテーブルに着くとすぐにナタリーさんが今日の夕ご飯を持って来てくれる。
ナタリーさんの持って来てくれたトレーには何時ものスープとパン後はサラダが乗っていた。
私が食事をしている間も、給仕をしていたアイナちゃんの背中にあるテディベアが気になったのか、何人かアイナちゃんを呼び止めてぬいぐるみについて聞いていた。
そのたびにアイナちゃんは嬉しそうにテディベアを見せながら説明していた。
アイナちゃんが説明するたびに、私への視線が多くなる。
私がこのままここにいると、また厄介事に巻きこまれると思い、食事を終わらしたら案の定、私の席に女性冒険者3人が私に話しかけてきた。
「ちょっといい?貴女がアイナちゃんにあの人形あげたのよね」
リーダーらしい日に焼けた褐色の肌、鍛えられた筋肉のラインの見えるタンクトップとホットパンツの女性が話しかけてきた。
「ええ、そうですよ?購入していただけるのでしたら、お売り致しますが?」
私が肯定すると女性は悩む素振りを見せてから。
「あんな上等な人形、高いんだろ?」
女性が値段を聞いてきたので、私はストレージを探しながら。
「取り合えずお座りください、今何種類かお出ししますので、ご自身のお財布とご相談ください」
私は言いながら、さて値段どうしよっか?アイナちゃんにあげたテディベアは今じゃ、録音機能とか作れないから高くても良いわよね?在庫はあるにはあるけど、他にも色々作てあるから出してみよう。
一番小さいのはあみぐるみかしら?これなら手の平サイズだし大銅貨1枚で良いわよね、あ~明日、布と糸の相場調べてこないとな~、フェルトで作った者もあるけど、大きさはアイナちゃんにあげたテディと同じぐらいの物で、これは小銀貨1枚くらいで良いかしら?布の相場がわからないと値段が適当になっちゃうわね。
私は値段を考えながら、ストレージからあみぐるみを何種類か、後はフェルト製のぬいぐるみを何種類か取り出しテーブルに置いた。
「こちらの手の平サイズの物は大銅貨1枚で、こちらのぬいぐるみは小銀貨1枚でどうでしょうか?」
私は値段を言いながらテーブルに置いたぬいぐるみを見て、女性たちは嬉しそうな悲鳴を上げた。
リーダーの女性が「持って見てもいいか?」と聞いてきたので、私は笑顔で「どうぞ」と言うと、女性たちは感触を確かめ始めた。
おっとりとした女性冒険者は大きいぬいぐるみを抱きしめて。
「ああ、この人形抱き心地いいわ、これ抱いて寝れば熟睡できそう」
言いながらも決して離さず、抱きしめながらぬいぐるみの頭を撫でていた。
もう一人の活発そうな女性冒険者ももう一つのぬいぐるみを抱き、頬ずりをしながら。
「かわいいね、それに触り心地すごくいい!」
リーダーの女性は大きいぬいぐるみと小さいぬいぐるみを片手に一つずつ持ち「う~ん」と悩むように唸りだした。
私たちがテーブルにぬいぐるみを出して話していると、給仕を終えたのかアイナちゃんがトテトテと走ってきて。
「あ、おねえちゃん、いっぱいぬいぐるみだしてる!」
アイナちゃんは自分のテディベアを手に持ってテーブルの上にあるぬいぐるみを見て居た。
それにつられるようにナタリーさんが給仕を終えて私のテーブルに来ると。
「ほんとにいっぱいあるね、でもなんかアイナのは出来が違うような?」
ナタリーさんの突っ込みに私は冷や汗を垂らしながら、視線を横に反らした。
アイナちゃん親子も加わったことで、他に興味を持っていたお客さんも、テーブルに近づいてきて物色し始めた。
そんな中一人の男性商人があみぐるみを手に取り。
「あるだけ全て売ってくれないか?」
商人は品定めするようにそう言ってきたが私は。
「先に欲しい女性に売ってからです」とキッパリ伝えた。
やっぱ大事にしてくれそうな人に買って貰いたいわよね、王都にでも持って行って貴族にでも売れば、そりゃ高く売れるだろうけど、それはお断りです。
どうせ貴族に売るなら私自身で売るわよ、喜んでくれるなら貴族のお嬢様でもいいと思うわ、でも私はその笑顔が見たい!まあそんなわけだからおきらめてね商人さん。
私が考え事をしてる間に、女性冒険者達は一人一個、大きいぬいぐるみを買うことにしたらしい。
「ありがとう、大事にするよ、でも明日から少し稼がないといけないな」
リーダーの女性がお金を渡しながら、そう呟いていたので、私はストレージから、イベアイテムの節分の豆を取り出し彼女たちに渡した。
節分の豆
節分イベント限定アイテム
効果 物理攻撃力と魔法攻撃力を500上昇120秒間持続
「買ってくれたお礼に、食べると力が少しの間だけ強くなります。
もし戦う前に食べれるようでしたら、食べてから戦ってください」
袋に入った豆を3人分渡すと、リーダーの女性は何かに気付いた顔をして。
「もしかして、これ前にアイナちゃんがへインさんぶっ飛ばした時のアイテムか?」
リーダーの女性が聞いてきたので私は笑顔で。
「あれ以上に攻撃力が上がります」と伝える。
女性は「ありがとう」と感謝の言葉を残して二人を連れて食堂を出て行った。
その後も女性客がぬいぐるみを買い、女性客全員が買うことになった。
他にも娘の土産にと小さなあみぐるみを買っていくお客さんもいてテーブルに出していたぬいぐるみは全部売り切れた。
まだ、ストレージにはあるけど商人さんに売る気は無かったのでそこまでで部屋に戻ることにした。
戻る前に湯を沸かしてもらい、お湯を桶ごとストレージに入れ、身体を流す。特に髪を念入りに洗っておいた。
あのまま、カレーの匂いがする髪で寝たくなかったのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます