第37話パーティー結成です

商業ギルドを出た私は、何時もの様にお昼にはちょっと早いけど、噴水の前でお昼タイムだ。

 今日は絶対にあげない様にしようと思って、カボチャスープのみです。

 カボチャスープだけでも十分おなか一杯になるからね。


町の様子も少し落ち着いてきたが、それでもかなり賑わっている。

 町行く人の顔も明るい、子供たちが走り回っている、他にも待ち合わせかな?男性や女性が噴水の前で立っている。

 私は周りの様子を見ながら、スープが飲み終わり立ち上がる。

 本当に子供と絡まなくていいのかって?別に知り合いでも無い子供に絡みに行ったら、私ヤベー奴じゃ無いのよ。


噴水を離れ、冒険者ギルドに向かう。

 絶対騒がれるわよね、まあそれは諦めるわ、でもパーティー勧誘どうしよう?

 私が考えながら、冒険者ギルドの扉を開くと一斉に注目された。

 そして一気に冒険者達が私に詰め寄って来た。


「おお、あの神官ちゃんじゃねーか!」


「あの時は助かった、あんたの御蔭で助かった」


「嬢ちゃんが居りゃ百人力よ!」


私に詰め寄った冒険者達は、口々に私を褒めたたえてくる。

 私の周りに集まった冒険者達は、握手を求めて来たり、背中を叩いてきたりする。

 誰よ今お尻触ったのは!出てきなさい!その悪い手は潰してあげるわよ!


私が冒険者達の歓迎を受けていると、金髪に赤い目の13歳位の男の子が私の前に出てきて、手を取ると頭を下げながら。


「俺、アベルって言います。

 あの時はありがとうございます、貴女が重症だった俺を治癒してくれたって聞いてます。

 貴女が居なかったら俺は死んでいたと思います。

 だから何でも言ってください、俺ができる事なら何でもしますから」


私はアベルの話を聞いて、あの瀕死の男の子だと気付くことができた。


「私はマリアです、元気になってよかったですね、助けられて本当に良かったと思います」


私たちが話していると、アベルの横に銀髪をボブカットに纏め茶色の瞳をした女の子がきた。


「あたし、マーナ、あの時は必至で名前も言えなくてごめんなさい。

 マリアさんには助けてもらったのに、お礼もできてないので絶対何かお礼しますから」


私は2人の言葉を聞いて、なら、このまま、パーティー組んでもらおうかな?と考えついた。


「お二人がもしよろしければ、私とパーティーを組んでくれませんか?」


私がアベルとマーナは目を見開き硬直し、周りは。


「そんな奴らと組むぐらいなら、俺らと」


「なんて、羨ましい」


周りの冒険者達は、口々に羨ましそうに声を上げた。

 アベルとマーナは硬直から抜けて。


「え、いいんですか?俺達みたいな駆け出しで、まだ鉄等級ですよ?」


「それじゃ、お礼にならないよ?」


2人も詰め寄りながら、否定してくる。


だが私は「パーティー勧誘が無くなるだけでも、私にとっては有り難いので」と呟く。


すると周りは困った顔になりながら。


「仕方ねーな」「本人が決めたことだしな」


と諦めた様に呟き始めた。

 このままじゃ他の人たちがちょっとかわいそうかな?私は集まった人たちに。


「定期的に回復魔法が必要な人にはおかけしますから、でもちゃんとお金は払ってくださいね?」


私がそう言うと、周りに集まっていた冒険者達が一斉に、歓声を上げた。

 まだ納得していないアベルとマーナは困惑した表情で首を傾げながら立っているので。


「これからよろしくね」と改めて挨拶を言うと二人は頷くのだった。


2人とこれからの事を話そうとギルドの食堂に行こうとしたら、レインさんに呼ばれたのでカウンターに向かう。


「マリアちゃんちょっと良い、ゴブリン戦の功績で鉄等級に上がったから昇級作業しちゃうわね」


「早すぎません?」


私が疑問に思って聞くと、レインさんが首を横に振りながら。


「本当は銀等級にしようって話も合ったんだけど、さすがに加入して1週間もたってない人を銀等級にするのは、他の冒険者の反感を買うんじゃ無いかってことになってね」


私は「そうですか」とだけ答え。


首に掛けていたギルド証をレインさんに渡した。

 私はさっき冒険者達に約束した事をレインさんに話し、食堂の一角を使わせて貰えないか聞いて見る事にした。


「レインさんすいません、3日に一度くらいで良いんですが、食堂の一角をお借りしてもよろしいですか?」


レインさんは深く頷いて笑顔で。


「もちろんよ、こちらからお願いしたいくらい」


レインさんは喜びながら手を合わせ、それから真剣な顔になって。


「でも、無料にしちゃダメよ。

 一度無料にすると、他の冒険者も無料にしろって騒ぐだろうから」


私は頷いて「一応の値段設定は考えておきます」と答えた。

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