第8話なんか来たー!
アイナちゃんとの約束をしている間、へインさんはナタリーさんに怒られていた。
へインさんがアイナちゃんを茶化さなきゃあんな目に合わなかったわけだから。
え?お前が原因だろって?なら聞きますけど、アイナちゃんみたいなしっかりした、かわいい子にご褒美あげたいと思わないの?私は思う。だから私は悪くない!
まあ一応反省はしてるのよ?まさかあそこまで、子供が大人を倒せるほど強化されると思わないじゃない。
実はアイナちゃん素質があるのかもしれないわね。
まあいくら素質が有ったって、今幸せに暮らしている子供に、戦いに開け狂う人生なんて似合わないし選んで欲しく無いわよね。
てことで私は寝る。おやすみなさい。
次の日、私はいつもの法衣に着替えて食堂に行くと、なんか空気が重い?
私が入って来た時、一斉にこっち注目したけど、どうしたんだろ?
私が空いてるテーブルに着くとナタリーさんが朝食を持ってきてくれた。
「おはようございます、なにかあったんですか?」
私がナタリーさんに尋ねると、ナタリーさんは目を反らしながら頬を掻き。
「ああ、ね、たいしたことじゃないから気にしないでもいいよ」
ナタリーさんはそう言ってはぐらかした。
私はたいしたことじゃないならまあいっかって、考えて朝食に手を付けようとした。
その時、近くのテーブルから声がかかった。
「あんただろ?アイナちゃんにあめって菓子あげたの。まだあったら俺達にもくれないか?」
私は声をかけてきた方のテーブルを見ると、5人組の冒険者風の人たちがいた。
別にガラが悪い訳じゃ無いけど、その態度は遠慮が無く、なぜか自分が正しい様な雰囲気を醸し出していた。
私は一目見ただけで心の中で、ぎゃああなんかキターーって叫んじゃったわよ。
私が反応しないのをいいことに、5人組のリーダーだろう人は立ち上がって、私の居るテーブルに近づきながら。
「俺達これからちょっと強いモンスター狩りに行くんだけど。
昨日の騒動を聞いてさ、それが有れば俺達でも楽に狩が出来るんじゃないかと思ってさ」
リーダーの男性は聞いてもいないのにペラペラと、自分勝手な理由を並べてくる。
なんでこういう人ってガラが悪い人より、普通に見える人の方が立ち悪いんだろ?
私が考え事をしている間にも、男性はさらに説明らしき事を話し続けていた。
「グレイズベアっていうんだけど、力が強いことで有名だから少しでもこっちの力上げときたいんだ。
グレイズベアに勝てば俺達のランクも銀等級になれるかもしれない」
私が喋んなきゃ、この人ずっと話終わらないんじゃないかしら?そんな嫌な予感がしたから、気は乗らないけど話しかけることにした。
「ごめんなさい、飴はあげられないわ」
私が淡々と断ると、男性は私の顔を信じられないものを見る様に驚いて、顔を見つめてくる。
信じられないのはこっちよ、何で名前も名乗らない、自分の都合を押し付けてくる人に、施しみたいに無償で物あげなきゃいけないのよ。
「何故だい?俺達がこの討伐を成功させれば、グレイズベアが出没している近くの村人は安心して暮らせる。
俺達はランクが上がる、ギルドは討伐報酬が入ってくる。
良いこと尽くめじゃないか」
「そこに私は関係無いですよね?」
「君は神官だろ?神官なら万人の幸福を喜ぶ者じゃ無いのかい?」
「確かに聖職者は万人の幸福を祈る者でしょう、ならば私はここであなた方の討伐が成功することを神に祈っていましょう」
「だから、君がアイナちゃんにあげた飴があれば討伐は確実になるんだ!」
「私がなんで飴を与えないかわからないのですか?」
「え?」
「先ず一つ、アイテムで強化してランクが上がったとしても、あなた方本来の力とは言えません。
何処かで致命的な失敗を起こしてしまうでしょう。
次にあなた方がそのグレイズベアを倒さなくても、他の冒険者が倒すのではないですか?指名依頼と言うわけでも無いのでしょう?次に私には、あなた方に協力しなければいけない義務も責任もありません。
最後に、他人に頼み事をする態度ではありませんね、まずは名前を名乗ることから始められてはいかがですか?」
私がつらつらと指摘すると、男性は固まって何も言えなくなってしまった。
話が途切れた所でナタリーさんが割って入って来てくれた。
「これ以上絡むようなら出てってもらうよ」
ナタリーさんの言葉を聞いて、男性は自分の席に戻っていった。
私は、すっかり冷めてしまった朝食を胃の中に押し込み、自分の部屋に帰る途中に、ナタリーさんにお礼を言うために近づいた。
「先ほどはありがとうございました」
私が深々と頭を下げると、ナタリーさんは顔の前で手を振り。
「傍から聞いていても、ありゃ揺すりと変わんないじゃないか。
気にするんじゃないよ」
まあナタリーさんの言う通りなんだけどね、なんか冒険者ギルド行くのがだるくなっちゃったな~。
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