第7話事件?いえ、事故です
ペックさんと別れ、部屋帰る前に。
昨日は色々ありすぎて、それどころじゃなかったけどお風呂に入りたい!気になるとどうしても入りたくなっちゃったのよ。
実はあるアイテムが出せればお風呂には入れる。
でもそれを出す場所が無い!宿屋の庭じゃあ広さが足りない、厩や馬車が停留してるし、井戸もある。
悩んだ末にナタリーさんに、聞いて見る事にした。
「すいません、お風呂って入れる所ってありますか?」
私が尋ねるとナタリーさんは。
「風呂は無いけど、湯なら沸かして持ってってあげられるよ」
ナタリーさんの答えに、私は直ぐ飛びついた。
「じゃあお願いします」と返事をしてお辞儀すると。
「湯のサービスは有料で中銅貨1枚になるよ」
ナタリーさんは忙しそうに、直ぐ私から離れて行ってしまった。
まあそうよね、お湯沸かすのだって薪使うんだし、ただなわけないわよね。
ナタリーさんと分かれた私は、自分の部屋に戻って、せっせとポーションの移し替えだ!最高級MPポーションが入っていた瓶、あれを大量に売るのはちょっとペックさんの反応を見てて。
もし貴族に、私があのポーション瓶を大量に待っていることがバレると、厄介事に巻き込まれそうな気がするし、もっと大量に売ってストレージに空きを作っておきたい。
そんなわけで、今は初級MPポーションから順番に移し替えてる所。
え?最初っから、初級MPポーション移し替えて置けよって?中身が一番貴重品だし、絶対無くすわけにいかないのが、最上級MPポーションなんだもん。
作ってくれた人は居ないし、同じ物作れる人がいるとは思えないのよね。
“効果が効果だし”あんな高性能ポーション作れる人がゴロゴロいたらたまんないわよ。
10本ほど移し替えた所で部屋のドアがノックされた。
私が返事をすると「おゆもってきました」と声がしたのでドアを開けると。
ドアの前にはアイナちゃんが、お湯の入って湯気が立っている桶を、両手で重そうに持って立っていた。
私はへインさんかナタリーさんが来るものと思てたけど、まさかアイナちゃんが来るとは思ってなかった。
驚く私に「おかあさんたち、いそがしそうだったからあたしがもってきました」と得意げに胸を反らせて言ってきた。
私は笑顔でアイナちゃんの頭を撫でながら。
「偉いね、そんな偉いアイナちゃんにはこれを上げよう」
私はストレージから、両端を捻って包装されている飴玉を3個と、棒に刺さった渦巻状の飴1個を取り出し。
「アイナちゃん口開けて?」と言うと包装から出した飴玉を口の中に入れて上げた。
私に言われるままに、不思議そうに口を開けていたアイナちゃんは、飴玉が口に入ると、ほっぺたを赤くしながら満面の笑みで。
「あま~~い、なにこれあまいよ、おいしいよ!」と叫び自分の頬に両手を当てて喜んでいた。
私は喜ぶアイナちゃんの手を取り、中銅貨と二つの飴玉とペロペロキャンディーを渡した。
アイナちゃんは、一瞬驚いて目を丸くしたがすぐ「ありがとう」とお礼を言って「おかーさーん」と叫びながら階段を駆け下りて行った。
私は廊下に放置された、お湯が入った桶と空のタライを部屋に入れ。
着ていた法衣を脱いだ、タライの中に身体を入れ、フレーバーアイテムのシャンプとリンス、ボディーソープで入念に洗う。
このフレーバーアイテム、なんとしっかりメーカー名まで入ってる、ボディーソープなんて泡で出てくる弱酸性のアレよ。
たぶん業務提携もしっかりしてるんだろうな~、他のフレーバーアイテムにもしっかりメーカー名が入ったアイテムがいくつもある。
調味料とか某メーカーの醤油とか味の素なんかもあったりする。
洗い終わった私は、緩いワンピースを羽織って、髪をカチューシャで上げて、保湿剤を顔に丁寧に塗りながら、これからどうしようか考える。
まずは移し替えたポーションをペックさんに売ろっと、後は冒険者ギルドにも行って登録しないと、へインさんにも冒険者ですって言った手前。
冒険者の仕事もしなきゃダメよね。
あ、そうだ市場にも案内してもらわないと、案内賃としてアイナちゃんにはまた飴あげよ。チョコの方が良いかな?
そういえば今日あげた飴の効果って何だったかしら?
私は効果が気になって、アイナちゃんに渡した飴と同じ物を取り出して見てみた。
ホワイトデーの飴玉
運営からのお礼の品、ホワイトデーイベント限定回復アイテム
効果 HP持続回復1秒間に100回復120秒持続
物理攻撃力100上昇120秒間持続
ペロペロキャンディー
運営からのお礼の品、ホワイトデーイベント限定回復アイテム
効果 MP持続回復1秒間に100回復120秒持続
魔法攻撃力100上昇120秒間持続
あ~これか~ペロペロキャンディー、レベル上げの時にお世話になったな~、これ舐めながらカタコンベでアンデットモンスター浄化しまくって、レベル上げたのはいい思い出よね。
ペロペロキャンディー、ペロペロ舐めながら、ターンアンデット唱え続ける簡単なお仕事、でも見た目がシュールで、よくギルメンに笑われたっけ。
まあこの程度の強化なら大丈夫だよね、なんて考えてた頃が私にもありました。
突然下階からドスンという音、そして「キャー」と言う悲鳴、私は慌てて下の階に向かうと、一階のカウンター近くに倒れてるへインさん。
そして口元に手を当てるアイナちゃんの姿が、何事かと食堂から出てくる客とナタリーさん、上の階からも客が下りてきて何事かと伺っている。
私はすぐ近づいてへインさんにヒールを掛けてから、アイナちゃんに何があったか聞いて見ると、アイナちゃんが愚図りながらも説明してくれた。
へインさんがふざけてアイナちゃんの飴玉を取る真似をしたらしい、その手を払う様に振った手に当たって、へインさんが崩れる様に倒れたと・・・
え?6歳の女の子の振り払った手に当たっただけで、大人が倒れたの?ナニソレコワイ。
起き上がったへインさんとナタリーさん、そしてアイナちゃんに私は深く頭を下げ。
「ごめんなさい私のあげた飴が原因だと思います」
最初は私がなぜ謝ってるのか分からず、困惑していたが、飴の効果を伝えたら愕然としていた。
そりゃそうよね、たかが御菓子で大人が倒れる怪力になるなんて。
私だって思わないわよ!
ナタリーさんがアイナちゃんに飴を返しなさいと言ったけど、アイナちゃんは「いや」と言って抱きしめてしまった。
私とへインさん、ナタリーさんは顔を見合わせてから、あきらめた様にため息をついて。
私は、アイナちゃんの目線を合わせる様に座り込み。
「これだけは守って、飴食べてるときはじっとしてること、じっとできない時は食べない。これだけは守ってね」
私の注意を聞いたアイナちゃんは、大きく頷いて「うん」と答えて笑顔になった。
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