第5話譲渡不可アイテム

私はペックさんにカップを売って、ハイ終わり、じゃあ詰まんないわよね。

 それに、呪いのアイテムを、売れるかの実験もできそうだし、ペックさんには、人柱になってもらいましょうって言ってもひどいことするわけじゃ無いし、もしこれで売れたらペックさんも儲かるわけだし良いよね。

 てわけで交渉開始。


「ペックさん、もしよろしければ、私からも売りたい物が有るんですが。

 でも、私自身に事情があって、販売も譲渡もできないかもしれません」


私がペックさんに事情を話すと、ペックさんは顎に手を当てて、少し何かを考えてから頷いた。


「ええ、構いませんよ、それでその商品とは?」


ペックさんに、商品について聞かれたから私は、問題の初級ポーションを、ストレージから一本取り出して、テーブルの上に置いた。

 そして、ペックさんに渡そうとして、ペックさんの手の平に、置かれそうになった初級ポーションは、ペックさんの手をするりと抜け落ち、硬い音を立ててテーブルの上に落ちた。

 ペックさんはその光景に驚き。


「持てないのでは買い取ることもできませんね」と呟いた。


私は、譲渡不可アイテムって、渡そうとするとあんなふうになるの?ゲーム時代は、取引欄に入れられないだけだったのに。

 私は別の意味で驚いていた。、

 私は、今度は販売したらどうなるのか気になって机に落ちたポーションを拾い直し。


「今度はお金と交換で、渡してみてもいいですか?」


私が提案すると、ペックさんは渋い顔をして。


「本来は、ポーションの品質を見て値段を付けるんですが、最低価格での買取でもよろしいですか?」


私は、まあ持っててもストレージの肥やしだし、別にいっかな~って思って即座に頷いた。


「では最低価格の大銅貨1枚、1000ローンで買い取りさせていただきます。よろしいですね」


ペックさんはそう言うと、自分の懐から大銅貨を1枚取り出し。大銅貨を右手で持ち、左手の手の平を上にした。

 私もペックさんに習って右手でポーションを持ち、左手の手の平を上にした。


「じゃあ同時に渡しましょう」と言い、同時になるように渡した。


でもポーションは、ペックさんの手の平をすり抜けて、またも机に落ち、硬い音を立てるだけだった。

 ポーションがテーブルに当たる音に、あざ笑われているような気がして、私は無性に腹がったた。

 でも、ペックさんを突き合わせてしまった手前、切れるに切れられず、椅子に座り込み苦笑いを浮かべ。


「お手間を取らせました、お売り出来ないみたいです」と言うことしかできなかった。


ペックさんも、落胆したように肩を落とし。


「設けることはできませんでしたが、また買取できる物がありましたら、何時でもお声がけください」と告げ。

 

立ち上がって行ってしまった。


私は情けなくて、手に持ったポーション瓶を見つめ、ストレージに戻すのも馬鹿らしくなって、一気にそのポーションを煽る様に飲んだ。

 体力が回復するのを、間隔的に感じるが、落ち込んだ気持ちは回復してくれない。

 残った物は、譲渡不可のポーションの瓶と、落ち込んだ気持ちだけだった。


何が譲渡不可よ、空のポーション瓶なんて何の役にも立たない、本当にゴミじゃ無いのよ、と言ってポーション瓶を見つめると説明分が出てきた。


初級ポーションの空き瓶

空になった空き瓶、中に新しいポーションを入れることができる。

譲渡不可


ん?あれれ?これって・・・私はもう一度よく説明分を読む、穴が開くほど読む。

 そして結論、これは使える。

 私は一人で、空き瓶を見つめて、ニヤニヤしてるとっても気味が悪い、女性神官の出来上がりだ。

 そしてガバっと立ち上がると、テーブルの上に空き瓶と、新しくストレージから出したのは、私がよく使う最上級MPポーション。

 私はそれを空き瓶に移し替え始めた。

 最上級MPポーションを、初級ポーションの空き瓶に移し替え終わって、鑑定してみる。


最上級MPポーション

希少な材料を用いてプレイヤーアルフォンスが完成させた最上級MPポーション。

効果 使用者の最大MPの半分の値を確実に回復させる。

高い錬金術の知識が無いと作り出せない。

譲渡不可


このMPポーション私の所属してる、ギルドアヴァロンの錬金術師でアイテムメーカーの、鋼鉄の錬金術師ことアルフォンスさんが作ってくれた物。

 本人の元ネタは鎧の弟だって言ってました。

 製薬会社勤務で、リアルでも、ゲームでも、薬の研究しかしてね~って嘆いてました。

 そんな友達の作ってくれた大事なポーション、これで誤って無くしちゃうってことも無くなったね。


そんじゃ、じゃんじゃん移し替えていくよ~。

 最上級MPポーションを譲渡不可の瓶に、そんで最上級MPポーションが入ってた瓶に、初級ポーションをせっせと入れ替えた。

 けど私が持ってた最上級MPポーションは、50本しかなかったから、移し替えた初級ポーションは50本しかできなかった。


そして私の手には、瓶だけやたら豪華な、天使の羽が生えた瓶に、薔薇があしらわれた蓋の、初級ポーションが握られていた。


初級ポーション

プレイヤーカイジンに作られた最高級ポーションの瓶に入れられた初級ポーション

効果 使用者のHPを500回復させる

  

アルフォンスさん「俺の最高傑作が市販の、のっぺりしたポーション瓶に入れるのは我慢できん!」って叫んで。

 同じくアヴァロン所属の鍛冶職人の、鉄槌ことカイジンさんに、豪華なポーション瓶作らせるんだもの!鍛冶師にガラス細工やらせちゃうんだもんな~それで、こんな立派なポーション瓶作っちゃう、カイジンさんも凄いとは思うのよ?でもやらせるなら細工師のジョブ取ってる人にやらせようよ。

 その後カイジンさん、細工にハマったのか、やたら装飾があしらわれた剣や鎧。

 私のアクセサリも、カイジンさん作の、これでもかってほど派手なアクセサリが、いくつもあるのよね。

 ゲームならよかったけど、今付けろって言われたらごめんなさい、しちゃうわね。

 

仲間の思い出に浸っていると、宿泊客達が食堂に集まりだした。

 いつの間にか夜になってたみたい。

 宿泊客達の視線が気になりだしたので作業は一旦終了、ご飯にしましょ。

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