第3話宿屋の食事

早急にこの国のお金を手に入れなければと決意した私、でもどうやってお金稼ごっかなって考えていると、アイナちゃんが宿の説明を始めてくれた。


「おっほん、さきほどせつめいしましたが、ちょうしょくつきですが。

たべなくても、へんきんにはおうじられませんので。

もったいないとおもうなら、あさしっかりおきてくださいね。

まえにおきられないで、へんきんしろってさわいだひとがいたんですけど、おとうさんにすまきにされて、どっかつれてかれちゃいました」


サラリと恐ろしいことを言うアイナちゃんに、頷きながら同意を示す。


「あ、あと、とおでするときはいってください。

そういうことなら、へんきんもうけつけますので」


笑顔で説明してくれるアイナちゃん、宿を利用してない時の返金は受付てくれるみたい。


「わかんないことがあったら、いつでもきいてください」と言って説明を終了すると、アイナちゃんは壁にかかっている鍵を一つ取り、私に渡しながら。


「マリアおねえちゃんのおへやは、405ごうしつで、4かいのいちばんおくのへやです。

 ごゆっくりおくつろぎください」と言うと笑顔でお辞儀をしてくれた。


アイナちゃんと別れた私は、早速自分に宛がわれた部屋へ向かった。

  部屋に入ると、ベットとクローゼットがあるだけの部屋だ、だが掃除は行き届いていて快適に暮らせそうではあった。


「さすがへインさんが褒めるだけはあるな~、ちゃんと掃除されてる。

ベットのクッションはいまいちだけど、この世界マットレスなんて無いんだろうな~、さて問題は、私の持っている貨幣がもはや美術品だってことよね。

今持ってる貨幣で買い物したらぼったくられそう・・・」


そんな独り言を呟きながら、アイテム欄を漁り。

売っても問題無い物無いかな~とか思いながら覗いていると、所持者本人しか使えない消耗品の欄にたどり着いた。

所持者本人しか使えない初級ポーションとか、私回復職なのにどこで使えってゆーのよ。


ストレージには、所持限界99個の、初級ポーションが五枠分、全部で495個。

初期クエストの報酬や、イベントで初心者プレイヤーのために設置された、ザコモンスターのドロップとして、溜まりに溜まったゴミアイテム。

このアイテムどうにかならないかな~と考えながら、1本取り出して光に翳して眺めてみる。


アイテムの説明欄には、譲渡不可とはっきり記入されているが、ここはゲーム内じゃ無い、ゲーム内じゃ無けりゃ、譲渡不可のアイテムを渡せるんじゃないかな?

と考えながら、ポーションの瓶を持て余していると、く~とお腹の辺りがなる音がして。

そういえば『おなか空いたな~』と思い、さっきアイナちゃんが、夕食は別で100ローン掛かる、と言っていたことを思い出した。

私の持っている貨幣を使うのは怖いけど、背に腹は代えられない。

それにもう、この宿屋で宿代として使っちゃたんだ、宿屋の中はセーフってことで、いざ食堂へ。


意気込んだ私は、一階にある食堂へ降りて行った。

食堂に入ると椅子と丸テーブルが何脚も並べられ、幾つかのテーブルには、何組かの客が座り談笑していた。

そのテーブルの間を、アイナちゃんとアイナちゃんにそっくりの、20代位の女性が料理を、踊るように運んで良く。

私は空いてるテーブルに着くと、アイナちゃんそっくりの女性が私に近づいてきて。


「初めまして、夫が連れてきたお客様ね。

 私はへインの妻でナタリーってゆうの、よろしくね。

 夕食、食べるんでしょ?ちょっと待っててね」


挨拶もそこそこにナタリーさんは言い終わると、厨房に駆け込んでいった。

少し待つと、今度はアイナちゃんが、トレーにコップとお椀、それにパンを乗せて、私の所に夕食を持ってきてくれる。


「アイナちゃんありがとうね、はい、これお代ね。」


私はトレーをテーブルに置いたアイナちゃんの手に、小銅貨を渡すと、アイナちゃんは。


「わぁ!しょうどうかなのに、これにも、えがかいてある~」と言いながら、両手で掲げ、ナタリーさんの所に向かっていった。


厨房へ飛び込んだアイナちゃんを見送って、さあごはん食べよっかなと、パンを千切って口に入れようとした処で、ナタリーさんが話しかけてきた。


「あのマリアちゃん?いいの?あんな高価そうな物渡しちゃって?今更返せって言われても、絶対アイナ手放さないよ?」


「いいんです、あれ私の国の貨幣ですから、貨幣価値も大体、この国の貨幣と同じ見たいですし」


私が気にしないと伝えると、ナタリーさんは、済まなそうにしながら。


「家の夫、一応衛兵だから、家の客も変なのはいないけど、外で買い物する時は気を付けるんだよ?」と忠告してくれた。


私が「明日には、商業ギルドで換金してきますので、大丈夫ですよ」と笑いながら言うと、ナタリーさんは。


「ぼったくられない様に気を付けるんだよ、たぶんさっきの小銅貨1枚で、10,000ローンぐらい付きそうだから。

 絶対等価で換金なんて、しちゃだめだからね」


ナタリーさんの忠告を聞いて私は、あれ?私が思ってたより価値がある?と内心冷や汗を垂らすのだった。

ナタリーさんが離れた後、ようやく夕食に手を付け始めた。

夕食の内容はソーセージの入った野菜スープに、柔らかいパン、それに、果実の汁を水で割った飲み物だった。

食べてみると、野菜の出汁は、薄いけど出ていて、ソーセージの味もしっかり染み出していて、まずくはなかった。

欲を言うと、コンソメの素が入ったらもっと美味しいのにな、と思ったけど、コンソメの素なんて無いんだもの仕方ないわよね?コンソメって自分で作るとすっ

ごい時間かかるから、まず無理よね。

オニオンスープの素なら手作りできるかしら。

私はスープを飲みながら、そんなことを考えて、改めて凄いわコンソメの素、と思った。


次に、千切りってあったパンを口に入れ、給食のパンを学校の帰りに食べた思い出が蘇った。

硬過ぎず柔らか過ぎず、なんとも言えない懐かしさ、決してまずい訳では無く、食べた時に漂う、果物の仄かな香りがいいアクセントになっていた。

次にコップに口を付ける、飲んだ瞬間、私はある飲み物を思い出した。

これ、あれよね、100%果汁じゃないし、色も水そのものなのに味がする。

これ、い〇は〇だわ!確か本物は特殊な製法で作ってるって聞いたけど。

これって水と割っただけよね?なんて果物なのかしら?無償に知りたくなった私は、通りかかったナタリーさんに、聞いて見る事にした。


「すいません、この水で割ってる果物って何ですか?」


私の質問にナタリーさんは、一瞬キョトンとしてから笑顔で。


「これは、コロアの実の汁を、水で割ったんだよ。

 コロアなら市場で沢山売ってるから、市場を覗いた時にでも、買って見なよ」


「分かりました、ありがとうございます」


私がお礼を言うとナタリーさんは。


「いいわよ、何ならアイナに、案内させてあげようか?」と逆に聞かれてしまった。


私はせっかくの申し出だし、まだこの町の地理を理解しているわけじゃないから、お言葉に甘えることにした。


「じゃあお願いしますね」


私はナタリーさんに答え、ナタリーさんは笑顔で頷いて、手をひらひら振りながら仕事に戻っていった。

食事を食べ終えた私は部屋に戻り、明日商業ギルドで売るものを考えていた。


だってね~換金がダメだとなっちゃうと、アイテム売るしかないけど。

レア装備はもちろんダメだろうし、アクセ類は絶対売りたくない!あれは私のコレクションよ!ってなるとやっぱり消耗品よね。

 一番は、譲渡不可の初級ポーションだけど、譲渡不可のアイテムが渡せるか分からない。

となると、大量にあるイベアイテム、チョコレートとか飴、カボチャに正月の鏡餅!正月の鏡餅とか大量にあるから、減らないこと減らないこと。


でも、このイベアイテムたちにも欠点が、下手な回復アイテムより回復率がいい!何よ!節分の豆なんて、食べるだけで力が上がるバフが付くとか、下手に人に、食べさせられない

じゃないのよ。

そんな物ばかりだから大量にあっても下手に売れないのよ。

私は嫌よ!どっかの軍隊が豆食べて、どっかの国落としたとかなったら、魂が抜ける自信があるわ。

・・・どうしようホントドウシヨ。

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