旅先にて3

21:08

目が覚めたら、部屋は静まりかえっていた。


今日書店でお迎えした壇蜜さんのエッセイを読みながらうたた寝。

して起きたら、夫と息子ともどもすでに眠りの底へと落ちてしまっていた。


静かな部屋にあるのは、窓の外から聞こえる雨音だけ。窓を開けたままでいられるのって、ある意味旅先だからの醍醐味。

だってほら、窓辺が濡れるとかそういう心配、しなくていいんだもの。まあでも、造りがそもそも自宅と違うから、濡れる感じは全くないのが救い。そうでないと、やはりどこか後ろめたさがついて回るもの。



気持ち的にはもう深夜だったのだが、時間にしてまだ夜はさほど深くない。


口内のくっつくような感じに、あらいけない歯磨きと立ち上がり洗面台へ。

ホテルによくある歯ブラシセットの歯磨き粉、毎回苦手に思いながら使う。磨きあがりさっぱりしないんだよなあ。


そう思っておきながら、今日も今日とて決意を固める。


「次こそ歯磨き粉持参するぞ」




ああ、疲れた。

早く自宅に帰りたい。


わりとこれも、いつも思っている。わたしには根無草のような放浪旅は出来そうにない。たまにの話なら、日頃の生活を顧みるのにいいきっかけかもしれないが……。

例えばキャンピングカーなどで生活をしあちこち転々として回るような暮らしは、わたしには向いていなそうだと思う。それはそれでやってみたい気もするが……、いや、うん、続かないだろう。


だからきっと、こう言う単発の小さな旅くらいがちょうどいい。自宅大好き人間には、やはりこれくらいでないとね。



北日本に送る原稿の推敲しようと思っていたけど、だめだ、熱意が足りない。パソコンを立ち上げる元気がないので、とりあえずスマホで立ち上げた。


高いハードルを超えるのに、山を細分化して低くすることは大事なことだ。


ああ、眠い。

なんだかんだで、まだ眠い。

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