依頼終わりの帰還

 宿のチェックアウトを済ませてから自分の街に帰るために一度ギルドに顔を出しておく。


「あ、アーノイドさんちょっといいですか?」


「何でしょうか?」


 ギルドの受付嬢に案内されて応接室に向かう。


「あの、昨日の討伐の件なのですが……」


「何か不備でも?」


「あのですね、大きなクレーターが発生しておりまして、確かアーノイドさんも付近におられたかと思うんですけど、何か覚えなどありませんか?」


「すいませんおそらく私です、昨晩の魔物との戦闘で空いたものかと思います」


「つまりアレはアーノイドさんが起こしたという事でいいですね?」


「そうなりますね……」


 どうやらユウキが作ったクレーターは少し問題になったようだ。


「そうでしたか、では問題ありませんアレの原因さえわかればいいので魔物などによるものなら人を改めて送る必要がありますがアーノイドさんが起こしたものであるのでしたらそのように処理しておきますね」


「わかりました、それでは自分の街に帰ります」


「はい、お疲れ様でした」




 ユウキが自分の街に帰りつくと、まっすぐにギルドに向かい終了の手続きをしに行く。


「終わったよー」


「……早くないか?」


 ユウキは無言でギルドカードを提示する、レティが怪しみながら読み取り機で確認する。


「さすがだな」


「というか討伐自体は昨日で終わった」


「観光でもしてきたのか、別にもっと時間がかかる物かと思っていたから向こうの街で時間を潰してきてもよかったぞ?」


「いや、トラブル」


「何があった?」


 レティの顔が一気に真剣に変わる。


「討伐の時にフィアとカルラの力を使ったらめっちゃ疲労して自我が無くなってた」


「それは被害が出なかったのか?」


「森でクレーターが出来た、人的被害は聞いてない」


「ふむ、その程度ならまぁSランクが本気を出して討伐したと言えば何とかなるかな、というか自我をなくすってどうした?」


「多分体力を多く消費した事が原因でものすごく空腹だった」


「なるほどなぁ、こっちでも気をつけておけよ、後の処理は任せてもう帰ってもいいぞ」


「そうするよ」




 翌日。


「料理中なんだけど……」


「や」


 朝起きるとマキナにガッシリホールドされて身動きがとれない状態になっていた、体を変形させて無理やり抜け出そうとするがそうもいかないようでしかたなくそのまま朝の用意を始めた。


「いい加減にしがみ付くのはやめてほしいな」


「や」


 朝食を食べ終えてもずっとホールドしているのでさすがに疲れてくる。


「どうしてもくっ付いていたいと」


「うん」


「いつまでくっ付くの?」


「ずっと」


「お風呂も?」


「うん」


「授業中でも?」


「うん」


「依頼中でも?」


「うん」


「どうしても剥がれてくれないと?」


「うん」


「じゃあごはんが食べられなくても?」


「う、うん」


(そこは揺らぐか……)

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