高燃費
店が最後に出した料理は残りの食材を何とかかき集めた物で食べ物とは呼べる代物ではなかった、店のモノをほとんど食べきったのにも関わらずまだ強い空腹が残っているのでユウキは急いでこの街のギルドに向かう。
「どうかされましたかな?」
慌ててやってきたユウキに驚きながらも冷静に対応する。
「討伐系はありますか?」
「それはまぁありますけども……」
「大型なら何でもいいから受けさせてほしい」
「それはまぁ、構いませんがどれを?」
「なんでもいい、面倒でも押し付けでもいい」
「ではコレを」
受付が選んだ依頼書を奪うようにして受け取ってから眺めて記憶してから即効で飛び出す。
「……なんなんだ?」
これからの事と思うと重かったハズの足もいくぶんか軽くなる、討伐対象は大型の豚のような魔物だった気がするがユウキは名前まで見ていないので簡単な特徴しか覚えていない。
目的の場所に到着した、本来なら慎重に進むべきだが空腹のユウキは向かってきた魔物も食べてしまえばいいと思ったのか警戒もせずに進んでいく。
音をたてながら進んで行ってるので当然のごとく討伐対象ではない魔物が襲ってくる、ユウキは待ってましたとばかりに人の形を崩して魔物を捕食していく。
「もう満足じゃろうに……」
「え?」
口からフィアの声が出たかと思うと頭が一気に冷静になる。
「あれぇ?」
「食い過ぎじゃバカ者」
気が付くと木すらもなく森の中に空いた空間の中心に立っていた。
「何が起こったの?」
「自我を忘れて手当たり次第に食べておったの、人の形すらも忘れてな」
よく見ると何も着ておらず服が残骸になっており所持品といっしょに近くに散らばっていた。
「止めてくれてありがとう」
「我の力を使ってそうなったと思うとなんだかショックじゃ……」
「いやぁすんません、そういや討伐目標は何だっけ?」
「とっくに捕食済みですよ」
カルラが呆れたように言う。
「うわぁどうしよ」
「無事なものを探して改めて討伐するしかないでしょう」
「いや、なんとかできる」
自分の腕から討伐証明の暴猪の尻尾を生やして引っこ抜く。
「これで良し」
後は散らばった服と荷物をかき集めてまとめる、職業柄服が破壊されることはよくあることなのでボロボロの恰好で戻ってもそこまで驚かれることはないが最低限の修復だけはする。
ギルドに戻って報告すると大きくダメージを負っている事に驚かれたが手続きを済ませて宿に戻る。
「自我を失うことがあったけど空腹感もなくなったし何とかなったよ」
街に帰ってきたときには既に太陽が沈み切っていたので服を買う事が出来ずボロボロを身にまとっている状態だ。
明日は朝一番で服を買いに行こうと思い就寝した。
翌日早々に目を覚まして服を買いに走る、会計の時に店員から怪しい視線を受けたがギルドカードを見せて誤解を解いておく。
買う服はユウキが少し本気をだせばたいていの物は破れるので安い物を大量に買う事が多い、一応礼服程度の物は持っているがそんなものを基本的に着たりしない、そんな買い方をしているのでマキナにはもっとおしゃれするべきと言われているがスルーしている。
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