聖なる物の抜け殻

「ユウキ、あぁよかった今日は休みか?」


 少し疲れた様子のレティがギルドの奥がから出てくた、基本的に疲れた顔のレティからユウキに話しかけるのは面倒な依頼が来た場合が多い。


「えぇなんですか?」


「……そう嫌そうな顔をするなよ」


 2人して嫌そうな顔をしていて顔のゆがみ方が同じでまるで親子に見える。


「どうせ面倒な依頼でしょう?」


「まぁそうなんだがなぁ、はぁ……」


「今回はやけに嫌そうですね」


「今回はギルドの連絡網経由なんだよ、ほぼ強制なんだよ誰がやるかは自由らしいが実質ココだとできる人間なんてお前だけなんだよ」


「うわぁめんどくさ」


 ギルド経由の依頼を断った場合は最悪除名される可能性があるので、依頼の内容より重要な事態でないと断ることができない、もちろん学校程度では断ることはできない。


「それでどんな内容なんですか?」


「討伐任務だよ、ただし元聖人だ」


「うわぁ……」


 聖人や魔術方向で強い人などが死んだ時に何らかの悪い物の影響を受けてしまうと強さを維持したまま魔物などになってしまう場合があるらしい、しかも今回はわざわざ遠くから依頼が回ってきたのでかなり強い相手という事になる。


「しかも場所絶対に遠くない?」


「かなり遠いな……」


 依頼書を眺めながらレティが冷静に言う。


「これってさ移動とかもろもろで相殺されるヤツじゃないの?」


「ぽいな、一応全部経費で落ちるように交渉してくから出発してくれ」


「え、今から?」


「面倒その他もろもろは私でやっておくよ」


 レティが面倒を自ら引き受けるという事は相当切羽詰まった状況なのだろう。




 ギルドにあるユウキの部屋から最低限の物を集めて渋々出発する。


「マキナへの説明は、任せてくれ……」


「お願いします」


 目的地へはユウキが高速形態を使用したとしても時間がかかってしまうような距離なのでマキナに説明する時間も惜しくなってしまう。


「行ってきます」


「いってらっしゃい」


 ギルド建物の屋上から翼を出して目的地へ向かう。


 レティが心底疲れた顔をしているが、こちらも帰ったら面倒なことになるのが確定しているので同情はできない。




 各地で休憩をしながら4時間ほどで目的地付近に到着した、検問があるのでその手前で着地して列に並ぶ。


「1人で来たのか?」


「はいアイオスから来ました」


「あぁ、そこか通ってよし、ギルドはそこをまっすぐ行けば目立つからすぐわかる」


「ありがとうございます」


 子供の姿だと信じてもらえない事が多いため20歳ほどの見た目にしているので多少怪しまれているもののギルドカードの証明もあり、すんなり通してくれる。




「すいません、アイオスから来た者ですが?」


 受付嬢にギルドカードを見せながら自己紹介する。


「すぐ呼んでまいりますので少々お待ちください!」


 受付嬢は慌てて立ち上がり奥に駆け込んでいった。


「もう来たのか、早いな……」


 奥から初老の男性が驚きながら出てきた。


「どうも」


「アーノイドさんでいいですね?」


「はい」


 改めてギルドカードを見せる。


「ふむ……、では今回討伐対象だが、何とか拘束までは成功しているのだが……、討伐までは行かなかった、しかし君には火力もあるようだし任せよう、ここの地下に閉じ込めているのでお願いしよう」


「地下ですか?」


 ユウキの所属しているギルドの地下では訓練所しかないがココのギルドの地下には魔物を拘束する設備があるようだ。

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