やっかいな依頼

 遺跡の報告も終わり、調査の結果はただの古い民家という結果として処理された、珍しい物には違いないがすべて完全に風化してしまい目ぼしい物が見つからなかったようで記録して後は放置という結論に至った。


 内容はともかく成果を出してしまったユウキに大きく説教することはできなかった。




 それからまたしばらくたったある日、ユウキの元に厳重に封がされた封筒が送られてきた。


「げっ…」


 送り主を確認して声を上げる、隣の国の王族の封蝋がしてあった、最悪国際問題に発展することを匂わせてなんだかんだ要求してくるのでこの手の物は良い印象が一切ない。


 それに放置する訳にもいかないので自室にて慎重に開封していく、封筒には他人事の丁寧語で並べられた文章と正式なギルドの依頼書が入っていた。


 依頼内容は向こうの国の学校にて転生者が学校を掌握しているらしくそれを何とかしてほしいとのことだ、依頼解決に何人か学校に転入や臨時教員のかたちで潜入させたが数日で連絡がつかなくなるらしく、転入などで侵入することはないらしい。


 学校への侵入は犯罪者の潜入の疑いがあるので調査のために来たという事でいくらしい、日時はユウキが国に到着次第行うとのこと、依頼の拒否についての記載はなかった。


「さすが権力者だね、拒否権ほしいなぁ」


 さらに手紙を読み進めていくと今日から1週間以内に来るようにとの指示もあった。


「こちらの予定は無視ですか……」


 別に予定がなかったがあまりいい気分にはなれなかった、依頼も他国なこともあり無視自体はできるがそうすると国同士問題に発展する可能性がある、なにより報酬が大きいので受けない理由はほとんどない。


「これは一人でいくか」


「あれ、お母さんまた遠くに仕事?」


 どこからかマキナがやってきた、ユウキが仕事の依頼を受けさせられたことを嗅ぎ取ったようだ。


「依頼主は隣国の姫様だよ」


「えあぁあの人か……」


 ついて行こうとしていたようだが姫様の名前を出すとテンションが下がっていくのがわかる。


「今回は1人で行くよ、マキナは連れていけないかな」


「あーうーんわかった、すぐ帰ってくるよね?」


「そのつもりだよ」


 不安そうな顔をしているマキナを頭を撫でながら答える、ユウキにだって学校があるのだから長い期間休むわけにはいかない。




 翌日に適当に用意をすませてから隣の国に向かう、何日休む事になるかわからないので学校にする申請は適当に長めに取っておく、申請を受けた人は適当な日数だったため跳ね返そうとしたが封蝋を見てユウキにかわいそうな視線を向けてから受理した。


 隣国へ向かう手段は友好国同士なためかなりの選択肢がある、ユウキ自身が飛んで行く方法もあるがここはあえて交通の記録を残した方が良いだろう。

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