南の島の夢の終焉

「あのせめてどれくらい時間が経っているか調べてからにしませんか?」


「それは良いかもしれないけど、私のこの姿で表に出て問題ないの?」


「あーどうだろ……、確かに人の形から逸脱したのは見ないかなぁ、猫耳とかがついているとかならたまに見るけど……」


「それって私が表に出たら魔物扱いされて討伐されないよね?」


「ちなみに人の姿になったりは……?」


「できたらそんな事言わないわ」


「ですよねー」


「はぁ、もうどうしようもないじゃない、もういいわ」


 女性は落ち込み部屋の隅に移動した、何をしているだろうと眺めていると突然腐臭と血の匂いが漂ってくる、何事かと近ずいてみる女性から青色の血が流れていた。


「何を…?」


「自分で終わらせているだけよ…」


 女性の全体から青い血が浮かんでくる。


「あんた達はココから出てくれないかしら…、そしたらここを消滅させるから」


「あの、一緒にきませんか?」


「ふっ、そんな口説き文句じゃなかなかついてくる人はいないよ」


 ユウキの発言の鼻で笑ったおかげか浮かんでくる血が勢いが収まる。


「それで貴方はどうですか?」


「そうね……、お断りするわ、気が乗らないし…」


「あの、じゃあ食べてもいいですか?」


「はぁ?」


「いや、そのぉ貴女の形状が珍しいので使えるようになりたいなぁって」


「あなたスライム種だったの、完璧に擬態できてるわね」


 驚きのあまり浮き上ってくる血が止まる。


「いえ、スライムではなくキメラの方に近いかと……」


「あぁ、そっちねいいわ、その代わりに私の意識は完全に消してね」


「ありがとうございます」




 手を肥大化させて女性を包み込み一気に飲み込み吸収する、一瞬で取り込んだため痛みなどは無いはずだ。


「吸収速度早くてビビッている……」


 まさかこんなに早く吸収できるとは思っていなかったようだ。


「お母さん調子はどう?」


「……特に変化ないかなぁ、精神の方も消えてるっぽいし」


 軽く手を変化させてみたが今まで通りで特に問題がなく複雑に変形させてみるがそれも今まで通りだ。


「とりあえずココを記録して提出したら終わりだね」


「そうだねぇ、あんな状態だったから生きていた時代がどんなものだったとか聞く事とかできなかったからねぇ」


「証拠も上の一部と地下の建物だけだよねぇ」


 地上も石畳が少しあるだけなので現場を直接見てもらう以外にココを証明する方法がない、しかし室内にあるものはすべてが風化して朽ちており調べて持ち帰ることは困難なため位置を把握して記録だけを取り、自分達の家に帰宅した。


 帰宅して真っ先にレティに怒られたのは言うまでもない。

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