救助者の現状
朝、登校する時間に校門前に行くと既に男子生徒が待っていた。
「早くきたつもりだけど既に来てたね」
「はやくノアっちをたすけたいんだよ!」
「はいはい、助けたい気持ちが先行して暴走しないようにね」
「う、うん、ひとまず僕の村まで案内するよ」
男子生徒の案内で村まで向かう、寮じゃなくても通える距離だと言っていたように案外短時間でたどりついた。
「何…あそこ?」
村に近づいた時に強い魔力を感じて指をさす。
「あぁ、あそこはノアっちの家だよ」
「へー…」
明らかに通常ではありえない魔力が一カ所に籠っており、通常なら避難命令がでるほどだ、しかし安定しているのか周囲に一切影響が出ていない。
「あらジャル君じゃない、女の子を二人もつれてもう乗り換えたのぉ?」
ノアっちの家から際どい恰好をした女性が出てきた、あと依頼してきた男子生徒の名前はジャルというらしい。
「違いますよ、2人はノアっちを助けに来てくれたんです」
「へぇ……」
「そんな変な物を見る目で僕を見るのを辞めてくださいよ、ていうか自分の娘の心配をしろよ」
「あら、私とあの人の子よ、大丈夫よ」
そういって家の中に入っていってしまった。
「……なんかすごい人ですね」
「そうなんだ、自分の娘があんなのになってるに呑気に暮らしてるんだよ」
「そういえばノアっちの状態を見てなかったね」
「あぁ、そうだったこっちだよ」
ジャルの案内で村の近くにある洞窟のその奥まで進んでいく。
「なんか村から近くにあるのに遠回りしないと来れないんだね」
「そうなんだ、でもここはアレしかないから滅多に人は来なかったんだよ」
ジャルが指をさした先に大きな正八面体の物体があった。
「何アレ?」
「あんまり近ずかない方がいいよ、吸収されるよ」
ユウキはおもむろに魔力の玉を作りぶつけてみると対象に当たる前に霧散し吸収されてしまった。
「ほう……」
「ノアっちはアレを調べるために近ずいてしまって吸収されてしまったんだ……」
「ていうかアレってなんだろう」
ユウキが正八面体の物体を指さしながら言う。
「いやぁ、あれは最近ここを根城にしているモンスターがいなくなっててノアっちと調査に来たらこんな事に……」
「つまり謎、と?」
今度は少し強めに正八面体の物体の上の方を少しかすめるくらいに魔力玉を放つ、やはりさっきと同じように分解されて吸収されてしまった。
「マキナ、視界」
「はーい」
マキナがジャルの視界を両手で塞いでいる間にユウキは手を切り離して正八面体の物体に投げつけるとこれも分解されて吸収されてしまった。
「これは長丁場になるかあっという間に終わるか……だな、マキナもういいよ」
「はーい」
「いったいなんで僕の目を?」
「企業秘密だからね」
「まぁ、いいや…いいのか、いいか…とりあえず今日は僕の家に泊まっていきなよ、一応家族には伝えてあるし」
「確かに近いとはいえいちいち寮からココを往復するのは面倒ですし」
「一応ここから僕らは毎日通っているんですがねぇ……」
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