ヒロイン補正
まずは対話だ、何事も話し合いからだ、言葉が通じなかったばあいはその限りではないが……。
「貴女は…誰ですか?」
話しかけようとすると先に話しかけられてしまった。
「うーん……、強いていうなら巻き込まれた部外者かな?」
「変なの」
苦笑しながら答えられた、これなら会話は普通にできそうだ。
「とりあえず今の状況は理解できているかな?」
「うん、完全じゃないけど、あとなぜか落ち着つけてる」
「うん、取り乱しているよりもいいね」
「そ、そうかな……」
「とりあえず原因を調べるからそのままじっとしててね」
「う、うん」
細い触手を伸ばして痛みがないようして血を少し採取して成分を調べる。
「うーん、とりあえず現状の打開だな」
「あのぅ、私は元に戻れるのでしょうか?」
「元に戻りたい意思があれば大丈夫じゃないかな、まずは元の自分の姿を強くイメージすることだ」
「う、うん……あ、できた」
思わずずっこけかけた、ユウキもまさか簡単に出来るとは思っていなかったからだ。
「でもこれじゃあ元の姿になっただけだよ……?」
「まぁ、そうなるな」
「どういうこと」
「君はもう元には戻れないってこと、人間辞めちゃてるんだよ、元の人間に戻るにはきっと大がかりな儀式やら精神の移植とかしないといけないだろうね」
「そんな……」
「ま、でも人間の姿を維持できるならそのまま暮らせばいいだろうし、もし嫌なら私の世界に来ればいい、まぁでもきっと私を召喚した人なら受け入れてくれると思うよ、あと聞こえてないだろうけどさっきから君の名前を外からずっと連呼してて五月蠅いんだよね、できれば早く覚悟決めてくれるとうれしいな」
「わかった、私は私だもん!」
いつの間にか目の前にはユウキを召喚した少年と同じくらいの年の少女が立っていた。
「戻ったみたいだね」
「戻ったっていうかただの擬態だけどね」
「私もそうだよ、最初は不意に戻ってしまう事があるだろうけど慣れだ、地道に練習して行けば無意識でもその状態を維持できるだろう」
「詳しいんですね」
「私も同類だからな」
「そういえばそうでしたね」
「そろそろこの囲いを解くぞ」
囲いを徐々に解いていく、周りに見られる前に男の姿に戻っておく、完全に解けた時に周囲から安堵の声が聞こえてきた、どうやらは問題なく人の形になっているようだ。
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