似た物同士

 顔や腕などいくつか人の部分があるがそれ以外は複数の蟲が出鱈目にくっ付いたような形をしている、クラスメイトは半分パニックになって散り散りになっておりエリフェスも何が起こっているか把握し切れていないようだ。


「おおぉ、デジャブュウ」


 呑気な声が隣から聞こえてきた、イケメンが危機感もなくのんきに傍観していた、なぜかそれに腹が立ちくってかかる。


「ずいぶん余裕だな、そんな様子だとお前は知ってるんだろ、エリフェスを助ける方法をよぉ!!」


 こんなのはただの八つ当たりで目の前のイケメンは本当に無関係だ、ただこんな状況にぼーっとしているのが許せなかった。


「助けるって言われてもなぁ、そもそもこの世界の魔法がどういう仕組みなのかしらねぇし」


「世界とかそんなのどうでもいい、エリフェスを助けてくれ……」


 悔しいが今の自分にはエリフェスを助ける事ができない、スキルがそれを証明している、今の彼女を救えるようなスキルは持ち合わせていない、自分は目の前のイケメンに変身している竜に泣きつくしか出来なかった…。


「ま、やってみますか」


 イケメンがゆっくりとエリフェスのもとへ向かう、ゆっくり進む姿がなんか絵になっているのがなんか悔しい。


 イケメンの腕に魔法で出来た帯みたいなものが流れる、その魔法の帯みたいなものよく見てみると幾何学的な模様がいくつも描かれている、あんな魔法はこの世界では見た事はない、もっとも日本にいた頃はアニメかなんかで見た事があるから特別驚きはしなかったが周囲の人間はエリフェスが化け物になっているのにも関わらず目を見開いて驚いていた。


 魔法で出来た帯のような物が大量に出てきてマントのようになびいている、それらがイケメンとエリフェスを囲うように増えていく。


「これが異世界の魔法……」とかなんとかイケメンから聞こえてくるが多分違うと思う、僕が偶然召喚した竜が特別に強いのだと思いたい。






 ……男の姿になって良かったかもしれない、私を召喚した人は積極的に側に置こうとしていた、というかこの世界ってスキルとかある世界なんだな、私もレベルとか体力とか数字で表示されているのだろうか、そんなことよりも目の前のアレだな。


 なんていうか親近感があるなー、キメラって感じが、でも私と違って一枚絵にしても映えそうな混ざり具合だし、もしかたしたら本人の気持ち次第で何とかなるかも。


 とりあえず他の人から見られないように空中に魔法陣を描く、世界が違うせいか安定せずにマントみたいに揺らいでいる、なんとか制御して彼女と私をドーム状にして包み込む、元に戻った時に全裸だったら可愛そうだからね。


「おーい、自我はあるかい?」

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