旧校舎の怪談

「ユウキさーん」


 学校生活も暫くが経過して徐々にクラスメイトとの距離も縮まりつつある頃に、あまり話すことのない女子生徒が話しかけてきた。


「ん、どしたー?」


「ねえねえ、旧校舎のウワサってしってる?」


「そういうのは知らないなぁ、というか旧校舎なんてあるの?」


 この学校自体はそこまで歴史が古くないらしく、今ユウキのいる校舎もどこか日本にある物と作りが似ている、一応この学校の全体図は見たことがあるのでその中に旧校舎らしき建物は無かったような気がする。


「噂なんだけどね、なんでも真夜中にある事をするとグランドに現れるらしいよ」


「ある事?」


「それが詳しくはわからなくて、何かをささげなければいけないとか何かをしなければいけないとかいろいろウワサはあるけど詳しくはわからないの」


 曖昧な所は日本と変わらないのかと懐かしい気持ちになった。


「そもそも本当にあるのかな、旧校舎なんて」


「なんでもその旧校舎に入って戻ってこない先輩がいるらしいよ」


「それは怪しい話ですね…」


「ねそうでしょ、それであの……、アーノイドさんにお願いがあるんだけど……」


「その話の調査かな?」


「その、お願いしたいんだけど……」


「私への指定依頼は高いですよー」


「ええぇ、そんなぁ」


「でも私はそうやって生きてるんですよー、でも今回は私も気になりますしね」


「え、じゃあ」


「期限は約束できませんが、無料で調べておきますよ」


「本当、ありがとう!」


 それで満足したのかクラスメイトの女子は他の人の集まりに向かっていった。


「なんだかなー…」


 約束した手前全く動かないというわけにもいかないので放課後にとりあえず行動することにした。




「じゃからって真っ先にここに来ることはないじゃろ」


 とりあえず校長室に来てみた。


「え、だって先輩とか先生に聞くよりも確実じゃないですか?」


「まぁ、そうじゃな……」


「というわけで旧校舎について教えてください」


「旧校舎についてはよく解っておらんのよ、そもそもあれ自体はこの校舎より新しいがな」


「じゃあ新校舎じゃん」


「つくりが日本の古い木造校舎とそっくりだからな」


「なにそれめっちゃみたい」


 ユウキの生きていた時代はすでに鉄筋コンクリートの建物だったので少しだけ憧れがある。




「しかし、出現方法がまだ見つかっておらんからなぁ、ワシも外見からしか見てないからな」


「場所とかも完全にランダム?」


「いや、場所は第3グランドだ」


「場所がわかってるんなら調査とかしてないの?」


「いや、一応しとるがの…成果はさっぱりでな」


 調査自体はしたいものの優先度が低いため未だに調査が出来ていないようだ。


「私達が調査してはたして見つかるだろうか?」


「ま、何か解ったらレポートかなんかで報告してくれ」


「えぇ、めんどくさ」


「そんな露骨に嫌な顔をするなよ、もし持ってきたらいろいろ便宜を図ってやろう」


「まぁ、気長にやりますよ」

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