強引な脱出
人や動物、魔物に魔力があるように大地にも人の血管のように魔力がある、大地の魔力は基本的に不安定だったり癖が強いため大地の魔力を使った魔法はごく少数しか存在しない。
今ユウキがやろうとしているのは大地にある魔力を無理やり引っ張りだして目の前の魔水晶を支えているであろう柱までつなぐ作業だ。
「…どこだ、違う…」
地中にある魔力を探し出しているといくつか魔力の流れを発見したが、並大抵の魔力では魔水晶に一瞬で吸い上げれてしまうだろう、一応魔力は大地を血管のように廻っているため無くなる事はないだろうが小規模の魔力だと一時的にでも枯れてしまうかもしれない、そんな事になればその一帯は何も実らない荒地になってしまう。
そんな事にならないように多少深くても大きな魔力の流れ、通称龍脈をみつけなければならない、小さな龍脈はいくつか見つけたがなかなか耐えれそうな龍脈が見つからず無意識に「違う……」と声がでてしまう。
「ああ、もう」
探せども大きな龍脈は見つからなかった、仕方が無いので小さな龍脈をいくつ引っ張ってきて魔水晶の柱まで持っていく、すると辺りがいきなり明るくなり見上げてみると魔水晶が光っていた。
「何とかなったのかな？」
視線を戻すと崩れていたはずの地面が修復されていた、地面が修復されているため、龍脈から魔力が通っているか確認できないが魔水晶が光り辺りが昼間のように明るくなっているので一応成功にしておこうと思ったユウキであった。
帰るために翼を広げて下水道が流れていた所に向かうが、どうやら天井も修復されているようで入ってきた穴が無くなっていた。
「まさか…閉じ込められた？」
再び削って戻ろうとするが削れた瞬間から修復されていった。
「これは…ヤバいかも…」
削って突破が出来ないので壁沿いに進みどうにか出口が無いか探していく、しかし全て見て回ったが出口らしき物は見つからず八つ当たりで周囲に炎などを撒き散らしたが壁や地面は即座に修復され魔水晶には分解され吸収された。
「…落ち着こう」
一通り魔法を使って落ち着かせる、鋭く尖った氷の塊を四方に飛ばして壁の再生速度が変わらないか見てみる、すると天井が一番早く次に壁そして地面の順番で再生していった。
「出るとしたら下かなぁ…」
今度は地面に向かって攻撃すると天井と同じ速度で再生した。
「マジかー…」
一箇所だけだとどうやら再生速度は変わらないようだ、つまり天井と地面両方に攻撃しなければならない、ユウキは攻撃パターンを何通りか試し一番最適と思う方法で脱出を試みる。
一度息を整えてから集中して、まず自分の形を変えていく、人の姿では無駄が多いのドリルのような姿に変身する。
変身を終えると、上下に氷の塊を飛ばして天井と地面を凹ませる、するとすぐに再生を始めるがやはり地面の方があきらかに遅いので、すかさず地面に突進して地面を突き破る。
多少強引になったが何とか突破する事に成功に都市を抜けて地面に潜ることが出来た、後は地中を移動出来るように体を変化させてから天空都市の外側から戻る。
「流石に今回は上乗せしてもらおう…」
何とか地面から脱出したが体力をほとんど使い切ってしまった、おぼつかない足取りで依頼主が待っているであろう広場に戻る。
「あれ、お母さんなんで此処にいるの？」
戻る途中で買い物をエンジョイしているマキナに遭遇した、両手には荷物がいっぱいでよく持ち運べるなと感心するほどだ。
「あ、あぁ大丈夫…大丈夫だからねちゃんと予算の以内の買い物だからね」
まだユウキが何も言っていないのに何故か慌てて取り繕う。
「いや、別にまだ何も言ってないけど…予算以内なら問題ないよ」
「あれでも、そういえば地下に行ってなかった？」
「別の所から出てきた、今調査が終わって戻るところだよ」
「そうなんだ、じゃあ私も行くー」
「その状態で？」
「……じゃあゆっくり向かってね私は大急ぎで荷物置いて追いつくから！」
そう言って一目散に荷物を置きに行ってしまった。
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