「なんかもっとかかると思ってたんだけど……」

　ユウキが本気を出して飛んでみると一瞬で目的地に到着してしまった。

「ほんとに全く空中って感じしないね」

　深い森の中にポツンと草の無い平原ありその中心に空中都市がある、城壁は10メートルほどの高さで周囲を囲っている。

　門番達がいる所から少し離れた場所に着地してそこから歩いて門の所まで歩いていく。

「すいませーん、ギルドからの依頼で来たんですけども」

　暇そうにしている門番に話かける、退屈そうに欠伸をしているしていがちゃんと周りを警戒しているため素通りせずに門番に話かける。

「あぁ、ギルドからか、話は聞いているが…、来るのが早くないかもっと時間かかると思っていたんだがさすがＡランクというところか…、とにかく身分証と依頼証明書を見せてくれ」

　門番はポケットに入れていたメモをめくりながら確認していた、この間にも目線を外さずにいるのは流石だといえる、二人から身分証(偽造)と依頼証明書を受け取り何かの道具を通して確認する。

「うむ、問題はないようだ、ようこそ天空都市へ」

　さっきまで固い表情が一変して営業スマイルになりユウキ達二人を中に通す。

　門をくぐると全くの別の世界に来たような風景が広がる、ユウキのいた街では良くも悪くも日本っぽい雰囲気があったが、中はまるで中世のヨーロッパのようなレンガ造りの建物が並んでいた。

「確かに観光地っぽいね」

「ぽいじゃなくて普通に観光地だよお母さん」

「そうだった、まず依頼主に挨拶にいかないと」

「そうだね」

　依頼主である街の代表のいる屋敷へ向かうが一本道では入り組んでいるため四苦八苦しながら辿り着く。

「この街って無駄に迷路になっているんだね」

「途中で寄り道とかできたけどさすがにこれは複雑すぎ」

　屋敷は街の中心から近い所にあり飛ぶことさえできれば簡単につくことができるが、人の目があるので当然出来ない、一方マキナは途中で見つけたアクセサリーショップなどいろいろな店を見れたためにそこまで不満は無いようだ。

　屋敷の門番に依頼証明書を見せて屋敷の中に入れてもらう、屋敷の中はよくある造りになっており外と違って迷う事はなさそうだ、真っ直ぐ進むと応接室に辿りつき、無駄に豪華な扉をノックして中に入る。

「失礼します…依頼によりギルドから派遣されましたアーノイドです」

「アーノイド、真っ黒…、君があの黒い天使でいいのかな？」

　ユウキの二つ名が遠い所でまで伝わっていることに恥ずかしさを感じる。

「懐かしい名前ですね、その名前で呼ばれたのは久しぶりです、それより今回の依頼の内容について詳しく説明をお願いします」

「ふむ、そうだね、まずは立ち話もなんだから座ったらどうかな？」

「失礼します」

　二人が無駄に装飾されたソファに座ったのを確認してから話始める。

「では今回に依頼の事なんだが…」

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