第100話 You Raise Me Up
「皆さん、ご起立下さい。」
号令がかかり、参列者たちは一斉に立ち扉を見つめた。
「新婦の入場です。」
アナウンスと共にケルティック・ウーマンの「You Raise Me Up」が流れ、大きな扉が開いて花嫁の姿が顕になった。
”落ち込んで 魂が疲れ果てた時”
”トラブルに見舞われ 心が押しつぶされそうになった時”
”私はここで静かに待つの”
”あなたがそばに来てくれるまで”
”あなたが居てくれるから 山頂にだって立てる”
”あなたが傍に居てくれるから 荒れ狂う海だって歩ける”
”あなたの肩を借りると 強くなれるの”
”あなたが居てくれるから 私は私を越えられる”
曲に合わせゆっくりと進む彩と治郎。
佐藤は今までの人生で最も美しい光景を目にしていた。
義父から妻の手を受け取り、夫婦で壇上に上がった。
「賛美歌」を皆で合唱し、参列者は席についた。
「新郎、友晴。あなたは彩を妻とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支え合うことを誓いますか?」
「誓います。」
「新婦、彩。あなたは友晴を夫とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支え合うことを誓いますか?」
「誓います。」
「では、近いの証に指輪の交換を行います。」
佐藤は結婚指輪を受け取り、震える手で彩の薬指にはめた。
「…ふふ。」
緊張が指先から伝わり、彩は思わず笑みがこぼれた。
新婦から指輪を受け取り、優しく夫の薬指にはめた。
「誓いのキスを。」
牧師の号令で彩は少し膝を折り、佐藤は彼女の顔を覆っているヴェールを上げた。
「……。」
互いの唇が重なり合い、同時に拍手があがった。
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