第63話 波乱の納涼祭2
「高田ちゃんって営業課じゃん?仕事きつくない?大丈夫?」
「セクハラとかされてない?イケメンが多いからさ、顔面を武器にして言い寄ってきたりさ…」
山田と鈴木が代わる代わる話しかけてくる。愛想の良い美鈴も流石に返答に困ってきた。
(ひー、なんでこんなに絡んでくるの!?一回仕事しただけなのにぃ…。)
彩が席を離れようと提案したのは多分彼らが目に入ったからだろう。愛想笑いをしながら美鈴は心の中で親友に謝った。
(彩ちゃんごめんよぉ、せっかく気遣ってくれたのに私がトロいから…。ってか彩ちゃんは大丈夫かな!?)
慌てて彩を探すと、先程居たところにずぶ濡れの斎藤とそれを見下ろす彩、慌ててタオルを持ってくる佐藤の姿を見つけた。
(彩ちゃん怒ってお酒ぶっかけたのかな…?でも佐藤先輩がなんでタオルを…?)
不思議に思って眺めていると、グイッと肩を掴まれた。
「ねぇなんで俺らが話してるのによそ見してんの?」
「えっ、あ、ごめんなさい。友達が心配で…。」
「あー坂並さん?あんなきつそうな人誰もさらったりしないってぇ。そんなことより俺たちとぉ…」
かなり酔いが回った鈴木が美鈴の顔に近づいたその時。
「遅れてごめん!」
聞き慣れたイケメンボイスが私を守った。
「途中でタクシー降りて走ったんだけど、それでも待たせちゃったね。」
鈴木の手からスマートに美鈴を抱き寄せたのは、自慢の彼氏。
「な…、あんた誰だよ!?」
「気安く高田ちゃんに触ってんじゃねーぞ!!」
「…それはこっちの台詞なんだけど。」
いつもとは違う低く鋭い声で山下が声を強めた。
「…っ、お、お前高田ちゃんのなんだよ!」
「「彼氏です。」」
思わず声が被ってしまった。
「ぇ、…か、彼氏?…居たの…?」
狙っていた女性に恋人が居ることを想定していなかったのか、ショックを受ける鈴木。山田は山下の格好良さに感心したのか、ぽかんと彼を見ていた。
「結希くん、待ってたよ…。」
「ほんとごめん…怖い思いさせてしまって。」
目の前でいちゃつく二人を見て男二人はすごすごと退散した。
「あのね、結希くん。」
「ん?」
「結希くんに紹介したい友達が居るんだ。私の一番の親友!」
「あぁ、よく話に出てくる彩さん?」
「うん。さっきちょっと心配なことがあったし、男性の結希くんが居てくれると彩ちゃんも守れるから一緒に行動しても良い?」
「俺で役に立つなら全然。大切な友達に美鈴みたいな怖い思いさせたくないもんね。」
山下の優しい返答に感激しつつ、彩の元へ向かった。
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