第49話 仲直り

「彩ちゃん、おはよ。」

「…おはよ。」

 昨日の件もあり、二人はぎこちなく挨拶を交わした。

「き、昨日は、ごめんね。私、彩ちゃんに助けてもらってばかりだから、何か力になれることないかって焦ってた。…彩ちゃんの気持ち、もっと聞くべきだった。」

「いいよ、もう。…それに、私は美鈴が幸せになってくれればそれで。幸せそうにしてるのを見てるだけで、私は十分だから。」

「そう…。」

「…もー。らしくないぞ、しょんぼりして!」

 バンッ、と美鈴の背中を叩いた。勢いで美鈴は数歩前によろめいた。

「ほんともう気にしなくて大丈夫!私にいつも通り惚気話聞かせてよ。」

「…うん!」

 二人は笑い合い、仲良く朝礼に向かった。


 昼になり、食堂で定食を頼んでいるところに山下から電話がかかって来た。

「!」

 一瞬喜ぶが、今は彩と居るので出ないでいると彩がそれに気づいた。

「気にしないでいいから出なよ。」

「ありがとう。」


 ピッ

「もしもし、午前の部お疲れ様!」

『お疲れ様。仲直り出来た?』

「うん、おかげさまで。一緒にご飯食べるんだ♪」

『良かった。んじゃ、切るね。』

「え?うん…、それだけ?」

『うん、今日はちょっとこれから上司とランチ行くことになって。…昨日のこと気になってたから、それだけ聞こうと思って電話した。』

「そうだったんだ。ありがとう、気にかけてくれて。」

『美鈴の大事な友達だからね。んじゃ、またね。』

「うん、また。」

 スマホをしまう美鈴を見て彩は首を傾げた。

「あれ、もう電話終わったの?」

「うん、上司とランチなんだって。」

「それをわざわざ電話で伝えるなんて、愛されてるねぇ〜♡」

「えへへ。」

(それだけじゃないんだけどね。)

「そうだ!今度の土曜日、初デートにいちご狩り行ってくるんだ♪写真撮ったら見せるね!」

「楽しみにしてる!…いよいよ初デートかぁ。いちご狩りだなんて、彼中々いい趣味してるね。楽しんでおいで♪」

「うん♡」

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