第46話 ちょっと違うけど
ピロリロリロリン♪
(あ!山下さんだ♡)
「もしもし!お疲れ様♡」
『おつかれ。今日さ、フェアハン春のイベントでレアアイテムが手に入るらしいんだけど一緒にどう?』
「あ、それ私も気になってたー!行こう行こう!ゲームで初デート♪」
『えっ』
「あ、変かな、ゲームでデートなんて。」
『いや…、良いのかなって思って。』
「だって週末までまだ日があるんだもん。それまではゲームでデートも悪くないでしょ?」
『…そうだね。なんか俺ららしくて良いかも。』
「あはは。でもリアルなデートもしようね?」
『うん。今週土曜日、空いてる?』
「空いてるよ♪山下さん何処か行きたい所ある?」
『うん…。でも子供っぽいかな。』
「何々?」
『…いちご狩り。』
「おぉ!良いねぇ♪いちご狩り、学生以来だから楽しみ♡」
『嫌じゃなかった?』
「全然!春といえばいちごだよね!」
『良かった。じゃあ予約しておくよ。』
「ありがとう♡楽しみにしてるね!」
美鈴達は通話をしたまま帰路につき、そのまま食事の支度を始めた。
「今日はたけのこの豚肉巻きー!」
『美味しそう。たけのこ旬だもんね。』
「うん!…まぁ、一人暮らしだから使うのは既に水煮にされてるやつだけどね。」
『生で売られてるやつでかいもんね。』
「うん、それもあるんだけどアク抜きが面倒で。」
『アク抜き?』
「うん。新鮮なやつはしなくてもいいみたいなんだけど、時間が経つとアクが出て苦いっていうか渋いっていうか…なんか嫌な味が出てくるから、米ぬかと一緒に煮てアクを抜くの。結構時間がかかるし、手間だからいつも水煮使ってる。」
『そっかぁ。たけのこって食べるの大変なんだなぁ。知らなかったよ。』
「知らずに食べて不味い思いしなくてよかったね(笑)」
『ほんとに(笑)この間たけのこご飯食べたくて買おうか迷ってたけど、買わなくてよかった。』
「たけのこご飯美味しいよねぇ。私も食べたくなってきちゃった。」
『豚肉巻き諦める?』
「諦めない!量を減らして両方作る!」
『おぉ、欲張り〜!』
「私は強欲なのです。」
『ふぅん?強欲なんだぁ。』
「うっ…。」
山下の意味ありげな発言と声で美鈴は顔が熱くなった。
『ん?どうした?』
「な、なんでもない…。」
(時々山下さん色っぽい事言うんだよなぁ…。)
「ねぇ、山下さん。」
『うん?』
「山下さんは、今まで付き合ってきた子に意地悪なこと言ったりした?」
『えっ、なにそれ。意地悪なことって?』
「ううん、なんでもないっ!忘れて。」
『気になるなぁ。』
「料理続けます!」
(なんで私、山下さんの過去の恋愛気になったんだろ…。今までそんな事思ったこともなかったのに。)
『…いい音するなぁ。』
ジュージューと肉巻きが焼ける音が通話口から聞こえるようで、山下は羨ましそうに言った。
『匂いとかも伝わってきたら良いのになぁ。』
「確かに、通話で音と映像が伝わるなら次は匂いも伝わるようになったら良いのにねー。」
『早く頭のいい人たち開発してくれ。』
「あはは!」
『…おなか空いたなぁ。』
「山下さんは夕飯何食べるの?」
『今日はレトルトカレーかな。』
「カレーもいいよね!」
『俺は美鈴の手作り料理が食べたい。』
「うぅ。」
『…イケボ?』
「うん…。」
『意識しました。』
「ごちそうさまです。」
『俺もお腹いっぱいになりたい。』
「えー?どうしたら良い?」
『下の名前で読んでほしいな。付き合ったのにずっと山下さんじゃん。』
「だ、だってなんか恥ずかしくて…。」
『じゃあ俺も高田さんって言ったら良い?』
「やだ!…結希くんの意地悪。」
『ふふ。でもなんで【くん】?』
「結希さんってなんか変だから。」
『そう?』
「うん。それにくん呼びの方が近い感じするでしょ?」
『まぁ…。じゃあ結希くんで。』
「結希くん。」
『なぁに美鈴?』
「好き♡」
『…………んん゛っ。』
「あれ?」
『…俺も、好きだよ。美鈴。』
「喉整えてから言うのずるいー!!」
『だってイケボ好きでしょ?』
「そうだけど…。普段の声でも聞きたい。」
『うっ』
「?」
『今のはぐっと来ました。』
「えぇ?今ので?(笑)」
『本音が聞けて嬉しかった。』
「そっか。…普通の声で好きって言って?」
『…好き。』
「うふふ♡」
それぞれ出来上がった料理を食べながらゲームを始め、思っていたのとは違うが念願の初デートを果たしたのであった。
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