第22話 共通の趣味

 仕事が追いつかず、そのまま会社に泊まる事となった美鈴は、一度夕飯を買いに外へ出た。

(今日プレイできないけど、ゲームだけ受け取っておこう。)

 あえて電気屋の近くのコンビニで食事を買うことにして、先に予約したゲームを受け取りに行った。


「あれ、高田さん?」

 その声は…!!

「山下さん!お疲れさまです。…どうしてここに?」

「あ、えっと…予約してたゲームを受け取りに来ました。」

 バツの悪そうな様子で山下は答えた。

(根暗に加えてゲームオタクと知られてしまった…)

「もしかしてフェアリーハンターですか!?」

「えっ…、そうですけど…。」

「私も!予約してたのを受け取りに来たんです!…今日は泊まりの残業になるのでせめてパッケージだけでも眺めたくて。」

 遠い目をしながら美鈴は購入したゲームを抱きしめた。

「泊まり!?お疲れさまです…。それにしてもまた意外なところ発見です。」

「意外?」

「はい。高田さんもゲームするですね。しかもその様子だと結構やり込むタイプでしょ。」

「分かっちゃいました?」

 てへへ、と美鈴は頭を掻く。

「山下さんはフェアハン・・・・・シリーズ好きなんですか?」

「えぇ、好きですよ。好きすぎて、実況動画見たりして研究してます(笑)」

 美鈴が屈託なく答えるので山下も話やすくなった。二人は暫く共通の話題で盛り上がり、店を出た。

「あぁ、今日が残業でなければなぁ。もっと話したかったです。」

「どんまいです…。また食事でもしながら話しましょう。」

「いいですね!…あと、LINE聞いてもいいですか?ゲームしながら通話とか楽しそうだなぁって…。」

 もじもじしながら美鈴は上目遣いで彼を見る。山下は意外な申し入れに面食らっていた。

「えっ……も、もちろん、いいですよ…!俺で良ければ…!」

「本当ですか!?良かった!じゃあ連絡先交換ですね♪」

 ゲームからの自然な流れで連絡先をゲットした二人は、それぞれ内心飛び上がって喜びながら冷静を装って別れた。

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