第19話 恋煩い

「はぁ。」

 翌日、美鈴は朝からため息を何度も吐いていた。

「…はぁ。」

「どうした?ずっとため息吐いて。珍しいな。」

「は!いえ、なんでもないです!ちょっと朝ごはん食べ過ぎちゃって、あはは…」

「…そうか。あまり無理するなよ。」

「はい、ありがとうございます!」

 佐藤は美鈴の様子を確かめて、去っていった。

「はぁ。」

(昨日は夢のようだったなぁ…山下さんと二人で食事。また行けたらいいなぁ。)


「……。」

 佐藤はトイレの洗面に立ち自分を見つめていた。

(高田、なんで昨日のこと話さなかったんだ…。)

 佐藤は会社帰りに美鈴と山下が一緒に店に入っていくところを見ていた。そのことを隠された佐藤は複雑な気持ちになった。

(…俺やっぱ駄目なのかな。)


「はぁ。」

「おーどうした結希、ため息なんか吐いて。なんか悩みでもあるのか。今日飲みに行くか?」

「いえ。大丈夫です。ありがとうございます。」

「お、おう…。」

 山下はキーボードを叩きながら昨日のことを考えた。

(高田さん、また食事行きたいって言ってくれたけどほんとかな。…俺なんかがまた誘っていいんだろうか…。)


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