第11話 昼食
「ちょっと。あんたらどんだけ仲がいいの?」
食堂に来るなり親友の彩が近寄ってきた。
「え?何のこと?」
「佐藤さんとのことに決まってんでしょ!周りではかなり噂になってるわよ。」
佐藤と美鈴のやり取りが、普通の先輩と後輩に見えないらしい。
「別に、ただ先輩のノリが楽しいから私もそれに乗っかってるだけで…」
「それが仲良いって言ってるの。もう付き合ってんのかと思ったわよ。」
「まさか!私は山下さんが好きなんだから!」
思わず叫んでしまった。近くの社員たちが振り返る。
「ちょ、声がでかい!山下さんって、前言ってたミドリ食品の人?この間ちらっと見たけど、めっちゃ猫背でいかにも根暗~な感じの男じゃん。佐藤さんを差し置いて、あんな男が好きなわけ?」
食券を出しながら彩は信じられない、という表情をした。
「あんな男って言わないでよぉ。彼、めちゃくちゃ素敵な声なんだから。」
「出たよ、声フェチ。いい加減その男の選び方よしなさいよ。今までそれでいい事なかったじゃん。良い声はアニメとゲームだけにして、現実はちゃんとした人を選びなって。」
頼んだものを受け取りながら美鈴は答えた。
「山下さん良い人そうだったよ?根暗だっていいじゃん。」
「そう思うのも最初のうちだけ!ある程度熱が冷めたら一気に煩わしくなるんだから。」
「そうかなぁ…。」
席に着き、いつも食べている白身魚のフライを見下ろした。
「私は好きなものはずっと好きだけどなぁ。」
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