第2話 好み

「彩ちゃーん。聞いてよぉ。」

 同僚で親友の坂並彩さかなみあやに先程の出会いを話す。

「もう神がかった出会いじゃない!?今度一目惚れの相手に会うんだよ、緊張するー。」

「一目惚れってあんた(笑)。声しか知らないのに惚れるとかあり得んでしょ。」

「それがあり得ちゃったんだからすごいよねぇ。」

 見た目は清楚系美女、仕事も出来て愛想も良い目の前の親友が残念でならない。彩は溜息を吐いて忠告した。

「あんたねぇ。せっかくカースト上位に居るような人間なんだからもっといい男選びなさいよ。前の彼氏も声だけのデブだったじゃん。しかもあの見た目で浮気するクズ男。声だけじゃなくて、中身も見た目もいい男をあんたなら選べるって。ほら、同じ課の佐藤さんとか。」

「顔面なんて興味ありませーん。それに佐藤先輩はかっこいいけど近過ぎるっていうか。社内恋愛とかしてたら仕事に支障きたしそうじゃない?」

 甘酢がかかった白身魚のフライを食べながら美鈴は言った。 

「そんなもんかねぇ。私は好きな相手と近くに居られたらその方が嬉しいけど。」

「彩ちゃんは付き合ったら即同棲する派だもんねぇ。」

「いいじゃん、家賃も半分になって一石二鳥じゃん!」

 彩はサラダパスタを器用にフォークで巻き取り口に運んだ。

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