第5話 「お兄さん、あのお姉さんと相性悪くない?」
翌日、あの東屋に行くと二人は相変わらずそこで待っていた。
状況は相変わらずでこちらとしてもそろそろ色々としんどくなって来た頃だった。
「んじゃ、あのお姉さん対策会議始めますかー」
「んじゃ、じゃなくなんで俺達の顔面に愛菜ちゃんの足が……」
東屋に入るなり床に座らされた俺の顔面になんの躊躇もなく愛菜ちゃんの足が置かれる、ピンクの水玉靴下は彼女の甘い匂いと汗の匂いが混ざって俺の下半身を刺激する。
チラッと横を見ると勇樹くんには当然のようにもう片方の足が置かれ、彼は大きく深呼吸して恍惚の表情を浮かべていた。
「愛菜に考えさせようって言うんだからこれくらい当然でしょ?まず、貴方達は正式に付き合ってるのよね?」
流れるように愛菜ちゃんのヒアリングが始まる。大好きな優美ちゃんとまともに話せなくなってもう一週間近く立っている、早く仲直りしたいのでありのままに彼女に伝える。
「ああ、まだ付き合って一か月くらいだけど……先月俺から告って付き合いだしたんだ」
「ふーん……ワンちゃん、お姉さんは彼氏出来るの始めて?」
愛菜ちゃんの言葉に一瞬、ドキッとしてしまう。優美ちゃんの事はずっと見ていたつもりだったが、誰かと中学時代付き合っていたりしたのだろうか。
その不安はすぐ勇樹くんが解消してくれる事になった
「多分だけど、大和田さんが最初の彼氏だと思うよ」
「はぁ……マジモンの処女じゃん面倒くさ……でも、お兄さん度胸無さそうなのによく告ったね?勝算あったの?」
安堵するのも束の間で愛菜ちゃんが大分失礼な事を言って来る。
だが、それも真実に近く俺一人では告白にまでは至らなかっただろう。
「……何処にだって、お節介焼きってのはいるだろ?間に入って色々やってくれた奴がいるんだよ……そいつに今鬼の追求くらっててそろそろ限界なんだよ……なんとかしてくれよ愛菜ちゃん」
「へー面白いじゃん。ちなみにそのお節介さんは男?女?」
「……女だよ、俺の幼馴染だ」
その瞬間、愛菜ちゃんの目が光った気がした。新しいおもちゃを見つけた子供の目だ。
「重要参考人ね。そのお節介さん呼べないの?まだそんな遅い時間じゃないし」
「……勘弁してくれよ」
「その方が手っ取り早いでしょ?その子も協力してくれるかもよ?」
「……説明するって事だろ?」
当然の帰結としてそうなるだろう。あいつに全てを説明したらきっと死ぬ程軽蔑されるだろう。
「んふっ、小学生のお尻の下で短小ちんちんおっきくしてたの説明するの嫌?」
「当たり前だろ!ただでさえ幼馴染で色々大変なんだからよ!」
幼稚園から一緒の幼馴染だ、いかにもガサツで活発な女の子だったがなんだかんだと腐れ縁は続いている。
「あの大和田さん……それって、山岡さんですか?」
「……そっか、あいつ優美ちゃんの家にも行ってるもんな」
そもそも俺と優美ちゃん共通の友人という事でお節介を焼いていたのがあいつだ。バレるのも時間の問題なのかもしれない。
「あのお姉さんの口から知るのとお兄さんの口から知るの、どっちがいいかな?」
「……呼べばいいんだろ呼べば!」
愛菜ちゃんのダメ押しで、俺はついにスマホを取った。何度も説明しろ!と連投されている幼馴染とのLINEで彼女を東屋に呼び出すのだった。
「なんだよ、こんな所に呼び出して……って勇樹きゅ……勇樹くんもどうしてここに?」
それから三十分もしないで、そいつはやって来た。
山岡雅、俺の幼馴染で優美ちゃんの友達でもある。
ショートカットで健康的に日焼けしているのは中学まで続けていた陸上の賜物である。
モテる、という感じではないが活発で男女問わず離し掛けるタイプなので友人は多いのだろう。
「うわっ……何、お兄さんの周りには処女っぽい人しか居ないの?」
「なっ……なんだこの失礼な子供は……まさか、勇樹くんの彼女?」
「お姉さん、ショタコンでしょ」
明らかに勇樹くんが居て挙動不審になっている雅を見て、愛菜ちゃんは呆れたように呟く。
「はっ、はぁ!?な、なに……イヤ、違うよ!勇樹くんみたいに可愛い男の子は凄い好きだけど」
「お兄さんの周りには、変わった子が多いわね……んじゃお兄さん一から説明どーぞ」
愛菜ちゃんが言うな、と言いたい所だったが俺はなんとかオブラートに包んであの出来事を伝えようと頭の中がいっぱいだった。
が、オブラートの包みようもなく話終わる頃には雅は顔を真っ赤にしてブルブル震えていた。
「なるほど……つまり、小学生に勝負仕掛けて返り討ちにあって優美のパンツで射精したと……そういう事ね」
「まぁ……ザックリ言うとそんな感じだ」
「ばっかじゃないのアンタ!疎遠になって当たり前じゃない!どうすんのよ!アタシどんな顔して優美に会えばいいのよ!」
「知らねぇよ!もう起こっちまったんだからしょうがねぇだろ!お前がなんとか優美ちゃん説得してくれよ!」
「出来る訳ないでしょ……でもこれで分かったわ。優美が私にすら話てくれないからアンタが暴走して無理やり優美としちゃったのかと思ったけど……こりゃ話せるわけないわ」
「……ワンちゃん、お兄さん。愛菜のどか湧いたからセンスでジュース買って来て」
「え?今話し合いの途中だから後にしてくれよ」
「今飲みたいの!はい、お金」
「……五十円じゃ何も買えないよ」
「二丁目の激安スーパー行けば買えるわよ!行ってきなさい!」
愛菜ちゃんのワガママに翻弄されてしまうが、勇樹くんはいつもの事のようで嬉々として歩き出している。俺は置いて行かれないように彼を追いかけた。
「……勇樹くんが居なくなったから言うけど。一番悪いのはアンタなんだからね」
二人が見えなくなったのを確認して、アタシは事の元凶とも言えるその子を睨み付ける。
まぁ、顔は可愛いのだろう。フワフワの髪の毛で甘い匂いがここまで漂って来る。如何にも女の子という感じであまり好きなタイプではない。
「……情けない人♡」
「はぁ?」
唐突にとんでもない事を言われる、見透かしたような目が癪にさわるが、まさか、本当に色々見透かされているとはこの時思いもしなかった。
「ここに貴方が来る前にお兄さんから色々話を聞いて、さっきまでのお兄さんとのやり取りも見て確信したけど……お姉さんお兄さんの事好きでしょ」
「なっ!何言ってだよ!幼馴染だって言ってるだろ!」
「……昔からキャラで色々なカップルのキューピット役をやって。そのキャラを崩せなくてずっと気になってる幼馴染のキューピット役までやっちゃって……どうせ相手がフッてくれるって思ってたんでしょ?」
「……」
何か言い返さなくては、だが、抑え込んでいた物が溢れて来そうになって上手く言葉が出て来てくれない。
「いざ蓋を開けてみたらまさかまさかのカップル誕生……この一か月辛かったでしょ……むしろ、愛菜にお礼言いたいくらいじゃないの?」
「違う!ふざけるのも程々にしておけよ!」
「全部は当たってないかもしれないけど、割と合ってるでしょ?愛菜の予感は結構当たるんだよ?」
ニッコリと笑う彼女を見て、なるほど勇樹くんやアイツがたぶらかされるのも分かるような気がする。
認めたくないが私達より余程経験豊富なんだろう。
「全然合ってないよ……悪巧みだけは得意そうなんだから、アイツと優美の間を取り持ってやってよ。アタシには無理だし……というかさっきの話をなんて優美としていいかすら分からないし」
「んーあのさぁ、ずっと思ってたんだけどお兄さん、あのお姉さんと相性悪くない?私には二人の方がよっぽどお似合いだと思うけど」
「そ、そうか?」
明らかに狼狽してしまっているが、彼女の前じゃ誤魔化しも無駄なのかもしれない。しばらく話し込んでいると買い出しの二人が帰って来たようだ。
「うん、だってお姉さんショタコンでしょ?」
「だ、だから違うって!」
「ほら、お兄さんと相性ばっちり♡♡♡」
東屋に入って来たばかりの、無防備なアイツのズボンは彼女の手によってズリ下げられた。
いつ以来だろう、確か最後に一緒にお風呂に入ったのは小学校低学年だっただろうか
流石にその頃よりかは大きくなっていたけど……可愛いアソコがプランプランと揺れていた。
「何すんだいきなり!」
「え?このお姉さんがお兄さんの雑魚ちんぽ見たいって言うから」
「い、言ってない!」
東屋に帰って来るなりいきなりズボンを下げられた、流石に幼馴染に見られるのはしんどい物がある。
「……あ、あんまり変わってないな」
「お前もしっかり見てんじゃねぇよ!」
「そ、そんな貧相な物見たくないよ!」
「はい愛菜ちゃんジュース」
「ありがと……分かった分かった、お兄さん騒がないの……面倒だけど。直接対決しかないかぁ」
愛菜ちゃんはジュースを飲みながらダルそうに話ている、なんだかんだ方法は考えてくれていたようだ。
「頼むよ愛菜ちゃん。せめて話くらい出来るようにならないとこっちも打つ手がなくてさ」
「そうね……手の打ちようがないくらい悪化させちゃったらごめんね♡」
ニヤリと笑う彼女を見て、事がこれ以上大きくならないよう祈るばかりの俺だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます