第2話 「理解てあげる♡」

「――『理解 わからせ』てあげる♡」


そう呟き、小学生とは思えない妖艶な笑みを浮かべて少女はこちらに歩いて来る。何をされるのかとても想像が付かなかった。


「お兄さんの方は……うーん、パッとしないけどまぁまぁかなぁ。お姉さんの方は……んふっ」


値踏みするように俺と優美ちゃんの周りを歩きジロジロとこちらを見る少女、痺れを切らし俺はつい大きな声を出してしまう。


「なんだよ!何をしたいんだお前は!」


「お前なんて言わないのお兄さん、愛菜には愛菜って可愛い名前があるんだから、愛菜って呼んで」


上目遣いで顔を覗き込んで来る愛菜ちゃん、正直言ってかなり可愛かった、キャミソールの胸元はゆるゆるで少女の小さいが確かに存在を主張している胸が見えそうだった。


「じゃあ愛菜ちゃん、端的に言ってもう勇樹くんと関わらないでくれないか。どう考えてもこんな関係はまともじゃない」


「ふーん、ワンちゃんの気持ちも聞かずにそんな事言うんだぁ……じゃあこうしようよ」


優美ちゃんの手前、なんとか強気に出るが気持ちとしては愛菜ちゃんにのまれかけていた。


得体の知れない凄みのような物を愛菜ちゃんから感じるのだった。


「私とゲームして、それをクリア出来たらもうワンちゃんとも関わらないし、これまで貢いでくれたお金も全部返しちゃいまーす。かなり破格の条件でしょう?」


「本当か……?俺らを騙そうとしてるんじゃ」


内心、拍子抜けしてしまったというのが実情だった。小学生のうちからクラスメイトに貢がせて性的な事をするような子だ。どんな仕打ちをしてくるのだろうと身構えていたのだが、思ったより悪い子ではないのかもしれない。


「本当本当、クリア出来たらもう愛菜は何もしないよ?お姉さんそれでいいよね?」


「何をする気なの?怪我させるような事するなら警察に行きますよ!」


「んふふ……本当に……絵に描いたようなリアクションだね。大丈夫大丈夫愛菜は約束するよお兄さんいいよね?」


「約束は本当に守って貰うからな。やろうぜ、そのゲームを」


「けってーい!それじゃねぇ――」


愛菜ちゃんは嬉しそうに、そして最高に意地悪な猫撫で声で高らかにゲーム名を告げた。


「――射精我慢ゲームのはじまりはじまり♡♡♡」


俺も優美ちゃんも絶句してしまった。勇樹くんだけは少し困惑しているようだが、愛菜ちゃんが何をするのか薄々分かっていたのだろう。


優美ちゃんは顔を真っ赤にして大騒ぎしてそんな事はさせらないと言っていたが、愛菜ちゃんの弟を助けたくないの?との問い掛けに泣きそうな顔で俺を見るばかりだった。


大丈夫、俺が我慢すればいいだけだから。そう言って俺は愛菜ちゃんの前に立った。


「お兄さんの方は準備万端って感じぃ?男らしいね、果たして彼女を裏切らず、彼女の弟を助けられるかなぁ?」


東屋近くの小さな街灯に灯りが灯った。少々薄暗いが東屋の中は確認出来る程の視界は確保出来ている。


「いいから早くやれ。時間は3分、愛菜ちゃんが逝かせたら愛菜ちゃんの勝ち。我慢出来たら俺の勝ちだ」


「かっこつけちゃってぇ♪これから小学生にちんちんいじられて射精しちゃうのにねぇ、あんまりイキってると後が辛いよぉ?」


精一杯の強がりだったが愛菜ちゃんはニヤニヤ笑ってまるで動じていない。優美ちゃんはこれから起こる事を想像して顔を真っ赤にしてしている。


「はい、じゃあ寝っ転がってちんちんだしてねぇ」


小学生にとんでもない事を言われている、昨日シコったし大丈夫だろう。そんな事を考えながら自分の物を出して寝転がる。


「ちっさ」


瞬間、愛菜ちゃんは噴き出してしまう。俺は一気に恥ずかしくなって頬が染まっている。


「いやいや、よく出せたねこんなちんちん。これならおちんちん♡の方がいいかな?小6のワンちゃんと大して変わらないよ?毛だけ生えちゃってさ」


「うるせぇな!ゲームに大きさは関係ねぇだろ!早くやれよ!」


「怖いなぁ、お姉さんどう?彼氏の可愛いおちんちん見た感想は?」


愛菜ちゃんは優美ちゃんに話しを振る、優美ちゃんは俯いてしまってこちらからその顔色を確認する事は出来ない


「……」


「酷いなぁ彼氏が頑張って短小おちんちん晒してるのに……それじゃ失礼しまぁす」


「――なっ!」


あっという間に、視界が全て埋め尽くされてしまった。東屋の長椅子に寝転んでいた俺を跨いで愛菜ちゃんはニヤニヤ見下ろしている。


「お兄さぁん、私のパンツは何色でしょうかぁ?」


「……黒の水玉」


視界に広がる愛菜ちゃんの下着、ピッタリと張り付いた黒下着はお尻や局部を強調している。


「はーいよくできましたぁ♪って、もうムクムクしてきちゃったのぉ?大丈夫?」


我慢出来る訳がなかった、童貞の俺にはあまりに刺激の強い光景だ。ふわりと漂ってくる彼女の体臭もまた俺の下腹部を刺激した。


「んふっ、流石に大きくなればワンちゃんより大きいね、偉い偉い♡隠れてたピンクの先っぽもこんにちは~♡」


「うるせぇって……もうタイマーは動いているんだからな」


計測係の勇樹くんはスマホのタイマーを持って複雑な表情を浮かべている。彼の本心がどうなのかは分からない、だがあんな関係を長く続けさせせる訳にはいかない。


「どうしよっかなぁ。終わらせようと思えばすぐ終わるんだけどぉ……考えるからちょっと顔借りるねぇ」


「借りるってーー」


目が離せないでいた愛菜ちゃんの下着。それが凄い勢いで迫って来る、モニュッと顔面全体で彼女のお尻を感じる。瞬間的に甘酸っぱい彼女の匂いに包まれてしまった。


「あははっ。お兄さん、触ってないのに出ちゃいそう!我慢♪我慢♪」


我慢なんて出来る訳がなかった。つい数分前まで女性の体に碌に触れた事のない自分が小学生のお尻に顔を埋めているのだ。今に射精しそうだった。


「ここでおちんちんを触ればもう終わりなんだけど。ワンちゃん今何分?」


「もうすぐ一分」


一分、まだそれしか経っていないのか……いや、もう今の俺に取ってはもう一分経ってしまったのか。という感情の方が正しいのかもしれない。


「ちょっとお話でもしよっか……ねぇお姉さん。このお兄さんなんでこんな勝負受けたと思う?」


「……私の弟を助けようとして……俊哉君、優しいから」


愛菜ちゃんは勝利を確信しているのだろう、いつでも自分の意志で終わらせる事が出来る勝負を長引かせ楽しんでいる。


「違う違う。お兄さんはね……本当はこうなる事を少し期待してたの♪」


「期待……そんな訳ない!」


愛菜ちゃんのお尻の下でもごもごと言い訳の言葉を言おうとする、しかし彼女のお尻から顔を離す事が出来なかった。可能ならば、このままずっとこうしていたかった。


どこかふんわりと甘い匂いと汗の匂い、そして……おしっこの臭いだろうか。それらがブレンドして俺の脳髄を焼き切ろうとしていた。


「お兄さん、ここに来てワンちゃんが私の服の中に入っているの見て、一瞬羨ましいって顔したの。男の子は皆そう。欲求に全然勝てなくて可愛い♡」


「……そんな」


「ふふ……最低って顔してるね。お兄さんの事見損なった?でもね。この中で一番最低なの誰か分かる?」


何処か、愛菜ちゃんの声色が変わった気がする。愛菜ちゃんは俺の上に座ったまま続けた。


「弟の事なのに彼氏に全部やらせて自分は汚れない所で綺麗なまま……愛菜、お姉さんみたいな人だーーい嫌いなの♡」


「……わ、私は」


「……優美ちゃんの悪口を言うな、俺と愛菜ちゃんの勝負だろ」


「小学生のお尻の下で凄んでも全く怖くないよお兄さん……そうだ、いい事考えた」


愛菜ちゃんはそう言ってスッと立ち上がった。愛菜ちゃんのお尻から解放されたが、鼻腔に僅かに残った彼女の匂いを感じてしまっている自分が居た。


「ワンちゃん、お姉さん捕まえてね」


「な、何を……勇樹!離して!やめて!」


愛菜ちゃんは勇樹くんに優美ちゃんを拘束させ、なんとスカートの中に手を突っ込み、何かをしているようだ。


「ほーら暴れないの……お待たせ、お兄さんこれなーんだ♡」


彼女が片手に持っていた物。それはつい数秒前まで優美ちゃんが身に纏っていた純白の下着だった。


「うわっ……うふふ、童貞のお兄さんには女の子のリアルを知ってもらういい機会かな?」


「やめて!返して!」


優美ちゃんは叫んでいるが、愛菜ちゃんは構わず俺の目のまで下着を広げた。これまで優美ちゃんを守っていた下着が俺の眼前に迫っていた。


「……うっ」


「あっ、お姉さん聞いた?うっだってぇ……処女の下着なんてこんなもんなの……それじゃっ……そろそろ終わりにしよっか」


正直に言ってしまえば、優美ちゃんの下着の内側を見て、俺は少し怯んでしまった。あの華憐な優美ちゃんの下着。そのクロッチはおしっこの汚れで大変な事になっていた。


「はい、彼女さんのパンツとお鼻で……ちゅー♡♡♡」


まるで後頭部をぶん殴られたかのように衝撃が走った。言ってしまえば、臭かった。


だが、俺は


――嫌ではなかった。

 

ビュックッ、ビュックッと俺の下半身は自らの意志とは別に白旗を上げてしまった。辺りにまき散らされる精とムワッっとした臭い。


「あー残念、タイムは……確認するまでもないか。まだまだあるもんね。残念だったね。お兄さん」


ハァハァと肩で息をしている俺はゆっくりと起き上がる、優美ちゃんが駆け寄ってくれるがなんと声を掛けていいか迷っているようだ。


「……約束は守れよ、愛菜ちゃん」


「はぁ?何言ってるの?あんな恥ずかしい射精しておいて」

 

愛菜ちゃんは呆れたように俺を見下す、だが俺には確固たる自信があった。


「……逝ってない。俺は愛菜ちゃんでは逝ってない」


「はい?」


「俺は!優美ちゃんの匂いで逝っただけだ!愛菜ちゃんでは逝ってない!」


真っ直ぐ愛菜ちゃんを見て、そう言い放った瞬間、横殴りに鋭い衝撃が俺の頬を襲った。


「――馬鹿ぁ!」


下着を回収し、弟の手を引っ張って東屋から出ていく優美ちゃん。力なくそれを見守る俺と笑い転げる愛菜ちゃんだけがそこに残っていた。


「あはは!お兄さん!面白過ぎ……新しいおもちゃ、見つけちゃった♡」


淫らに微笑む愛菜ちゃんだったが、俺は優美ちゃんに嫌われてしまったであろう事実に愕然とする事しか出来なかった。

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