第9話 横たわる私の周りで…

数年前の話。新婚の私は、初めての妊娠で毎日不安とワクワクを行ったり来たりしながら毎日を過ごしていました。

 ある日、いつものようにベットで夫と並んで眠っていると、急に殺気というか、とにかく身の危険を覚える視線を感じました。しかも、視線の先は私ではなく、私のお腹に向けて。

 視線を向けてくるのは、一人ではなく複数体だと思われます。横たわる私の周りをぐるりと囲み見下ろしているイメージです。

(奪われる…!!)

 何故そう思ったのか分かりません。子を守る本能なのか、芽生え始めた母性なのか。とにかく私はお腹の子を守らねばと想い、両手で膨らみ始めたお腹を覆い、視線から少しでも遠ざかるような体制になりました。

(私の子や、あんたらに取られてたまるか!!)

 強く念じると、ぱたっと視線の気配がなくなりました。

 現実的に考えると、ただ寝ぼけていただけかもしれません。でも、確かに見下ろされている感覚があったのです。

 現在、お腹の子は無事に生まれ日々すくすくと育っています。


あの時、もし私が恐怖で何もしていなかったら。一体今どうなっていたのでしょうか。

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