第8話 バイト②

週末。

俺は楓と一緒に前に調べた駅前の塾の面接に来ていた。

今は塾のエントランスで面接の順番を待っているところだ。

電話してみたらバイトの募集してたんだよね。

それも地元の講師優遇みたいな話もあるらしく早速面接の予約を入れた。


"SKスクール"

川野辺近辺はあまり大手の学習塾は進出してきてなかったんだけど最近駅近くに出来たビルに入居している学習塾だ。

マンツーマンの個別指導が売りでこの辺りでは一番大きな駅でもある横川に次いでのオープンらしい。

横川の方はそれなりに実績も出しているらしくて川野辺でも生徒は結構集まってるらしいと母さんから聞いた(母さんの情報網って何気に凄いんだよな)

と楓と2人緊張して待っていると事務員と思われる女性が声を掛けてきた。


「え~と田辺健吾さんと小早川楓さん。お2人共川野辺大学の1年生でしたね。

 準備が出来ましたのでお2人で突き当りの部屋にお入り下さい」


ん?2人で?

面接を2人同時にやるのか?

それに面接って向かいの部屋じゃないの?

他の人達と場所違うんだけど。


「2人一緒でいいんですか?」

「はい。そう聞いてます」

「わかりました」


何だか色々と気になることはあったけど楓と並んで指定された部屋に向かった。


「何だか緊張しちゃうね」

「こういうの久しぶりだもんな」


部屋の前でドアをノックすると"どうぞ"という若い女性の声が聞こえた。

面接担当は女性なのかな?それに声も若いな。


「失礼します」


そう言いながら部屋に入ると


「久しぶり田辺君、楓ちゃん♪」

「・・・え!?渋川さん?なんで?」


何故か高校の同級生の渋川さんがスーツ姿で奥の机に座っていた。

俺達とは別で都内の大学に進学したから会うのは高校卒業以来だ。

元々綺麗な人だったけど大学生になって更に綺麗になった感じだな。


「なんでって・・・もしかして知らないで面接に来たの?

 ここの塾って私のお父様の会社の系列よ」

「・・・。SKってもしかしてShibuKawaのSK?」

「そうよ♪でもだとしたら凄い偶然ね~」


凄いな渋川グループ。テニスクラブとか経営してるのは知ってたけど学習塾も経営してるのかよ。


「だとしても何でここに渋川さんが?講師もやってるの?」


と楓。

確かに。親が経営してるとしても居る必要ないもんな。

楓が言う様に渋川さんもここで講師やってるのかな。高校の時も成績良かったし。


「あぁ。私お父様にここの管理を任されてるの。将来の勉強のために経営の勉強しとけってね。だから2人の面接担当も私。

 あ、もちろん2人の事は知ってるし、講師のバイトは採用だからね♪」

「え!あ、 ありがとう」


管理者って・・・俺の考えの全然上だったな。

流石は渋川グループ。


思わぬ再会となったけど変な緊張も取れ、その後はお互いの近況を話したりと楽しい時間を過ごした。

ちなみにバイト講師には同じく高校時代の同級生でもある大崎さんや吉見も登録しているらしいから時間が会えば顔を合わせることがあるかもしれないな。


ちなみに渋川さんの恋人でもある結城については、講師じゃないけど渋川さんを手伝って管理側の仕事をしているとのこと。

あいつも勉強苦手とか言ってたのに3年になってからは渋川さんとの将来を考えてか難関私大の経営学部に進学出来たんだよな。

結城とも最近会ってないし、またゆっくり話とかしたいなぁ~




----------------------


「でも、驚いたな。まさか渋川さんが面接官だとは思わなかったよ」

「そうだね。でもさ渋川さん達が一緒だと思うと少し気が楽だよね」

「はは、楓緊張してたもんな♪」

「そ それは健吾君もでしょ!」

「まぁ確かにな」


でも、とりあえずはバイトも決まったしちょっと安心したな。

後は・・・実際に授業をどうやるかだよな。

紅葉の家庭教師をしたときは、紅葉がわからないって聞いてきたところを見てあげたり、試験対策ってことで指導してたけど同じような感じでいいのかな?

何だか考え出したら色々緊張してきたぞ・・・

とりあえずは渋川さんから貰った資料読んでみるかな。


「あ、そういえば健吾君。今日って露ちゃんも居ないし夕飯は私が作るけど何か食べたいものとかある?」

「お。ありがとうな助かるよ。って露は居ないのか?」

「あれ?露ちゃん言ってなかった?デートだよデート。健吾君に言うのは恥ずかしかったのかな?天野君とリバーランドに行くんだって♡」


「ほぉ~ 天野も頑張ったなぁ~」

「だよね。もしかして今頃告白とかしちゃってるのかな♪」

「そうかもしれないけど今更だろ。最近一緒に居ることも多いしデートだって何度もしてるだろ?

「そうだけど、告白とかって大切だよ。露ちゃんも自分からは言えないだろうし」


そっか確かに言葉に出して言うのは大切だもんな。


「そうだな。じゃ、露には後で色々と聞いてみないとな♪」

「だね。いつもからかわれてるし聞いちゃわないとね♪」


まぁあの2人なら問題は無いだろうけど、2人共恋愛関係は初心だからなぁ~

楓も程々にしてやれよ♪



***************

更新が遅れてましたが、少し気力が戻ってきたので、とりあえず昨日とあわせて更新が遅れていた分を少し頑張りました。次回は土曜か日曜更新予定です。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る