第6話

 第二章


     1


「心にケイゲ(ワードにないだろうなと思っていたら、矢張りなかった。

経典を読んで下さい。

ワードに文句をいっても、仕方がないので、ケイゲは、一切のコダワリと受け取って下さい。

便利なようで、不便な時代ですね。

ワード屋さん、もう少し、勉強してください。

難字辞典をインストールするほどの、文字では無いと思いますよ。

普通に、文字が出るようにして下さい)」


改めて、

「心に、一切のコタワリが、無い」

「コダワリが、無きが故に」


コダワリを持つもつことは、これまでに、述べてきたことが、一切無駄になって仕舞うのです。

それでは、安心して、彼岸に、渡れませんよ。

一切のコダワリを、捨てれば、次のような心構えになることが、出来るのです。


「無有恐怖(むうくうふう)」

 渡るための、恐怖(きょうふ)は、消え去ります。

そして、

「遠離一切顛倒夢想」

「一切の、顛倒(物事が、逆さまになったような)、夢想(それは、想うこと自体が、夢の出来事なのですが)、つまりは、狂気のできごとなのですが、そうしたことから、遠離(おんり)、遠く離れることができるのです。

 簡単に言えば、「死にたいする」、一切の狂気じみた、恐怖さえもが、遠くに、離れていきますよ、と観世音菩薩は、慈悲深く、説かれて、おられるのです。

 

観世音菩薩は、次に、

「究境(土偏を取って下さい)(くきょう)涅槃」

 つきつめれば、涅槃に至るのです。

涅槃には、大般涅槃(だいはつねはん)と、中般涅槃(ちゅうはつねはん)とがあります。

 中有においては、如来や、菩薩は大般涅槃に至りますが、羅漢は、中般涅槃(ちゅうはつねはん)に至ると言われています。


「三世諸仏」

 過去世、現在世、未来世の諸々の仏は、


「依般若波羅蜜多故」

 般若波羅蜜多に依るが故に、偉大な智慧で、渡り、


「得阿ノク多羅三ミャク三菩提」

 『アヌッタラ・サミヤク・サヌ・ボーディ』(この上のない悟り)を得たまえり。


「故知般若波羅蜜多」

 故に知りなさい。

「般若波羅蜜多(偉大な智慧で、彼岸に渡る)」ことを、


 以下、各種の呪(しゅ)、真言が、並びます。

「是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪」


これらの真言(マントラ)は、

「能除一切苦(よく一切の苦を除き)」

「真実にして虚(こ)不(ならず)」


「故に説く、般若波羅蜜多の呪(真言)を」


「即ち、呪(真言)を説いて、曰(いわ)く。


で、冒頭の「ギャテイ偈」となります。

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