第11話 図書館に行く

 アンは翌日の朝早くから図書館に来ていた。


「調べると言っても何から見ればいいのかな・・・」


 と言いながら、一通り見て回る。色んな文献があり、色んな意見を示しているのが改めて分かる。その本の多さに調べる気が失せてしまった。面倒くさがりな性格が災いする。


「あっそうだ!良い事思いついた」

 と言って、綺麗な図書館司書のところへと歩いていく。


 「すみません。未来が書いてある本ありますか?」

 と突拍子もない問いかけに、綺麗な図書館司書のお姉さんはプッと少し吹いた後

「未来が書いてある本は、多分ないと思いますよ」

 と笑顔で優しく答えてくれた。

 「ですよね~私は何を聞いているのでしょう」

 と質問の仕方を間違ったことに気づく。

 「未来を予測している感じの本はありますか?」と改めて正確に聞いた。

 「それなら、向こうの棚の左から二番目の枠のところにあります」

 と笑顔で丁寧に教えてくれた。

 「ありがとうございます」

 と清々しい笑顔でお礼を言って、その場所にやって来る。

 「お~やばいやばい、慣れないことはするもんじゃない」

 と言いながら、その枠をの覗き込んだ。何冊かをざっと目を通したが、ピンとくるものは無かった。

 「やっぱ、未来は予想にしか過ぎないし、過去の記録しかない図書館で手がかりを探すのは無理だな」とぶつぶつ言いながら早くも図書館を後にする。


「あ~腹減った。そう言えば、朝から何も食べてないや。久しぶりに牛丼でも食べようかな・・・」

 そう言って、目の前の吉野家へ入っていく。最近までは、殆ど毎日牛丼を食べていた。しかし、アイとの通信が始まってからは吉野家へ行く時間がもったいなく感じられたので、コンビニ弁当とカップ麺の生活を送っていた。


「いらっしゃいませ。ご注文は」と聞かれ

「いつもの」とつい答える。店員が困った顔をするのに気づく。

「あっ悪い悪い、ジョークじゃないからね。いつもの店だとそれで通じるからついついそう言ったんだ。ごめん。並をつゆだくで」とはにかみながら注文する。


 すると、後から入ってきた汚い恰好をした爺さんが

「いつもの」

 と注文を言う。その光景に思わず「ぷっ」と吹いてしまった。


「なんかおかしいかい?」と老人が聞いてきたので

「いえ、私もそうなので・・・」と答えると

「常連なの?でも見たことないが・・・」

「ここじゃないので」

「ビジターなんだな」

「はい。たまたま図書館に来たので」

「そうかい。何しに図書館に」と聞かれ

「ちょっと未来を調べたいと思いましてね・・・」


「おまちどうさま」そこへ、並のつゆだくが届けられる。


「なんで未来を知りたいと思うんじゃ」

「ある出会いから未来を知る機会を得たのですが、キツネにつままれたような未来だったので。もしかしたら騙されているんじゃないかと思いまして」

「なるほど・・・」

「私の言っている意味分かるんですか?」と思わず老人に尋ねる。

「それ、タイムネットじゃろう?」

「え~~~~何故知ってるんですか?」と目を丸くする。

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未来の愛 瀬田 乃安 @setanoan

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