第7話 学校もない
「なんじゃこら~~~!!」
と叫ぶアン。もちろん、夢の中である。その自分の叫び声にびっくりして飛び起きる。
「あれ~俺は何してたんだっけ・・・」
寝る前に何か良い事を考えてた気がするが、それが何だか思い出せない。こういうことって誰もが経験することなのだろうか。
「あ~寝る前にメモっとくべきだったな~」と後悔しても後の祭りである。
「あれ、ところで今何時?」と時計を見ると、夜の八時半を過ぎていた。
「道理で腹が減るわけだ」
朝から立ち食い蕎麦を一杯食べただけであることを思い出す。
「何か食べるもモノあったけ~」と冷蔵庫を覗くも水しか入ってない。
「しょうがない。コンビニ行ってくるか」とつぶやき、近くのコンビニ向かう。
「腹減ったから、今日はとんかつ弁当とカップ麺にしよう」
と言って、買い求める。急いで戻り、ヤカンでお湯を沸かしながら電子レンジで弁当を温め始める。
「チン!」とレンジがなる。
「出来た出来た」
と言って、早速弁当をほう張り始める。程なくお湯も沸きカップ麺も出来上がった。あっという間に食べ終わる。いつもの食事光景だ。もうこういう生活を何十年と続けているから何の違和感もない。食べ終わると食欲が満たされ、記憶が甦ってくる。
「あっそうだ!忘れてた」と言ってパソコンの電源を入れる。
相変わらず安い分だけ立ち上がりには時間が掛かる。
「遅いな~」と言いながら起動完了を待つこと約3分。
「そうだ、今度からカップ麺にお湯を入れたら電源入れよう」
と訳の分からないことを言いだす。
「お~い、アイ君。起きたよ」と、パソコンに向かって話だしアイを呼び出す。
「こんばんは。よく眠れましたか」
とアイの声が返って来た。その声にちょっとホッとしたような感じで
「眠れるには眠れたけど、結構うなされちゃって」
と今後起こり来る未来が夢で出て来たのか大変だったようだ。
「そうですね。無理もないと思います。日本人のあなたにとって、この世から日本人が消えるという未来を受け入れることは耐えがたいでしょうから」
「まあ、そうなんだけど実際に1億以上もいる日本人が僅か数十年でいなくなるという状況が想像できないというのが現実だよ。本当にいなくなるの?」と改めて問いかける。
「はい。未来の私が言うのだから間違いない真実ですよ。アンさんの時代から百年前に、こういうパソコンがあるということが想像できないように、日本人がいなくなるという私にとっての現実を百年前のアンさんが信じられないというのは当然だろうと思います。そして、そのことを知っているのは、アンさんの時代では世界中でアンさんしかいないです。きっと、誰も信じてはくれないでしょう。世の中っていうのは常にそういうものなんです」
「なるほどね~しかしアイはさ~小学生なのに良くそういうことを言えるよね」と、問いかけると
「ショウガクセイって何ですか?何で私がショウガクセイなんですか?」と、また驚きの質問が飛んできた。
「学校ってないの?」
「ガッコウってなんですか?」と聞かれ、
「分かった、もういい、こっちの間違いだ」と言って言葉を濁した。
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