第6話 やっと落ちる

 しばらくの沈黙の後

「ならば、株式市場はあるだろう?」

 とアンがひらめく。アンも折角未来とのパイプを得たわけで、それを何とは収入増に繋げたいと必死で考えている。

「アイ、株式相場って今どうなってんの?」

 と聞く。しばらくの沈黙の後

「カブシキソウバって何ですか?」

 と、アイが聞いてきたのでアンはガックリと肩を落とす。

「株式もないのか・・・とほほ」と、思わず嘆く。

「でもさ~会社はあるだろう?」と気を持ち直して聞く。

「カイシャって何ですか?」とまた逆に聞かれてしまう。

「会社って、例えばアイが持っているパソコンを作ったり、売ったりする組織だよ」

 と小学生にも分かると思う聞き方をする。

「あ~カンパニーですね。それなら今でもありますよ」

「そうか、英語で言わなきゃダメなんだ!」

 と納得して株式の英語を調べて聞き直す。

「ストックって分かる?ストックマーケットって言えば分かる?」

 と発音に注意しながら聞いてみる。

「ストック、ストックマーケットって日本語ですか?」

「いや、英語だよ」

「ん~だったら僕には分かりません!」

 と答えたので、アンは椅子から転げ落ちた。

「お前な~それは未来のギャグかよ」と突っ込むアン

「ギャグではありませんよ。真面目な話です」と至って平然と答える。

「あっ、それなら宝くじってある?くじってある?」と思いつくまま聞く

「タカラクジ、とかクジなどというモノもありませんよ。21世紀って、僕たちには知らないことが色々あるんですね。なんか面白いな~」

「だよな~こっちがビックリだよ。思った以上に色んなモノがなくなっててさ、予定が狂っちゃたよ」

「予定って・・・」

「いやいや、こどもは気にせんでええ」

 と言いながらも、大人は大いに気にしていた。

「う~む、折角のチャンスなのにな~~~」

 と思いながらも、当然ながらこういう事態を全く予期していなかったわけで、頭をフル回転させたせいで、アンは結構疲れてしまった。

「アイ、実は俺あんまり寝てなくて、結構眠くて辛いんだ。寝たいんだけど、パソコンどうしたらいい」と聞くと

「大丈夫ですよ。アンさんのパソコンにアクセルするルートは確保してあるので、普通にシャットダウンしてもらって構いません」

「また繋ぐにはどうしたらいいの?」

「普通に電源を入れてもらえれば、自動で接続されます」

「そうか・・・良かった。これで安心して眠れるわ。ほんじゃ、また起きたら電源入れるね」

 と言って、パソコンの電源を落とし、敷いてあった布団に落ちた。

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