第4話 聞きたくなかった未来
「アンさん、僕の方からも色々聞いても良いですか?」
「ああ、いいとも」
「百年前というと」
「良く知っているよな・・・」
「実際どんな感じですか?」
「というと・・・・」
「大騒ぎしているとか・・・」
「いや、政府は労働人口が減るから経済成長がどうのこうの言っているけど、国民は、お金ないし働かなきゃ仕方ないだろうって感じだよ」
「う~ん、そんな感じだったんだ」
「小学生なのに何でそんなこと聞くの?」
「国家が滅びるって始まりはどんな感じなのかなって思って・・・」
「なんじゃ~~~それ、日本は百年後無いのかい?」
「ええ、今は日本という国はありませんよ」
「でも、日本人はいるんじゃない?」
「いるとは聞いていますが、どこにいるのか定かではないですよ」
「どういうこと?」
「物凄い人口減少が起こったのと大きな地震と大きな噴火で国土が荒んでしまって、おまけに、たくさんあった原発が崩壊し住めなくなっちゃたんですよ。千人単位の集落が日本各地に残っているとは聞いているんですが、何せ立ち入りが難しくて情報が入ってこないので分からないんですよ」
「おいおい、マジかい。それは何時起こるんだ!」
「ちょっと待ってください。え~と最初の大地震が2050年ですね」
「最初って、続くんかい!」
「そこから数年ごとに五か所で起こっていますね。最後が富士山と阿蘇山での大噴火ですね」
「そんな~~~~」と肩を落とすアン。
「ところで、アイは日本人だよね。日本語話しているし・・・」と微かな希望を問いただすと
「僕は日本人ではありません。日本語はアプリを使って話しているだけですよ」と応える。その答えにアンは言葉を失う。
「俺は、どうしたらいいんだ・・・・」と頭を抱え込んだ。
「アンさん大丈夫ですか?」と呼びかけるアイの言葉は耳に入らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます