第2話 悪い癖
「そういう冗談を言っている場合ではない。そのタイムネット相互通信とは何なの?」
「タイムネットとは、インターネットを経由して時間を超えるもので、まあタイムマシンのテレビ版のようなものです。その相互通信というのは、こうしてアンさんと会話が出来るというシステム。タイムネットの開発は30年ほど前に完成していましたが、相互通信という機能は今日完成したわけです」
「ほう!機能が今日完成したんだ・・・」
「いやいや突っ込むところはそこじゃないでしょう。相互通信機能の開発に30年もかかったということであり、それがようやく完成したということに突っ込んで下さいよ」
「悪りい、わりぃ・・いつもの悪い癖だ!許せ」
「別に怒っちゃいませんけど・・・」
「ところで、君は今ワシのことをアンさんって言ったよな。何故、初めて話すワシの名前を知っていたの?」と一番知りたいことを聞く。
「アンさんって、あなたのお名前だったんですか?我々は、相手のことをあんさんって呼ぶんですよ」と言って笑った。
「そうかい。偶然だったんだな・・・ところで、君の名前は何て言うの?」
「僕の名前はアイです」
「男なのにアイって言うんだ。未来は自由なんだね。少し恥ずかしくない」
「恥ずかしい?何故ですか?私たちはみなアイですよ」
「まあ、人間は愛から作られているから間違いではないけど・・・」と言ってそれ以上は聞かなかった。
「しかし、改めて考えると22世紀の人と初めて話したのがワシなのか?」
「そうなります。そして、21世紀の人と初めて話したのが僕です」
「面白いな、二人だけの秘密やで」と訳の分からないことを言う。
「ワシは今50歳だけど、アイはいくつなんだ?」
「僕は12歳です」
「12歳???そんなこどもが、こんな機能を開発するのか?凄いな」
「いえいえ、12歳は立派な大人なんですよ」
「いやいや、今どき12歳は、まだまだケツの青い赤ちゃんだよ」
「アンさんは、オヤジギャクが上手いですね」と褒められ
思わず「それほどでも~」と照れるのであった。
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