今後の方針2

「そして、ここからが重要です。今後の方針としてノーティス王国とベビダ教の打倒は訳ですが、それでは足りません。主神たるベビダを葬り去る必要があります」




 それは絶対条件と言える。

 ベビダを葬り去らなければ、この世界はベビダの遊戯のように弄ばれ、戦争等が増長される。

 それは教会の在り方を見れば明らかだ。

 教会とは、神を写す鏡であり、教徒の行いはそのまま神の行いなのである。

 部下の責任は上司の責任でありまた、組織とは個を全体として扱いまた、全体を個として扱う。

 会社の誰かが不祥事を行えば、会社全体の責任となり会社と言う個人のイメージを決めてしまうのが社会の摂理ならそれは神の世界においても同じなのだ。

 故に教会の在り方からしてベビダが真っ当な神でないのは間違いない。

 もし、真っ当な神なら献金と称して営利目的で人から金銭を巻き上げたり、魔族と言う差別者を産み出す事はしない。




「その上でアカシックサモンで誰かを呼びたいと思いますが、何か意見はありますか?」




 一応、昇にも意見を聴いているがどちらかと言えば、クーガーに聴いている節が大きい。

 ベビダの力が未知数な以上、万全な状態にしておきたい。




「敵が未知数って言うなら断然、アカリだろうな……神を殺した数ならあの女の右に出る奴はいない。神に対抗するなら”神殺し”が無難だろうさ」




 アカリ・ライトロードは魔境と呼ばれる全ての世界と隣接する世界の管理者にして魔境の神。

 神を殺した数ならオリジナルのアリシアを凌駕しており、既にその数字は天文学的であり、600兆を優に超えているとされる。

 そして、唯一オリジナルのアリシアと追従できる神の1人でもある。

 ここにいるアリシア個人もその人物に非常に興味があった。

 だが、問題があった。




「要求する神力を気にしなくていいなら、すぐにでも呼びたいんですが……」




 アカリの召喚で最も障害なのは、その莫大な神力量だ。

 銀河を70個対価にした程度でも足りないのだ。

 最上位の神である故に、コストは天文学的であり、日本神話に出て来るような八百万の神のような矮小でちっぽけな神を束にした程度でもどうにもならないレベルでの絶対強者だ。




「そこだよな……神としてガチだからな。あんなの呼べるのはオリジナルのアリシアだけだろうよ」


「なら、そのアカリと言う人はどうあっても呼べないのか?」



 

 現実的に考えるとまず、召喚は現実的ではない。

 少なくとも太陽系クラスのエネルギーを使ったところでその力の一端すら再現できないだろう。

 アカリと言う神格は太陽神とか月の女神だとか、その程度の矮小な存在ではないのだ。

 アカリと対峙するなら10*10^1466037736W並みのエネルギーが無いと相手にもならない。

 アカリにかかればビッグバンを片手間で起こせるのだ。

 そんな上位神を呼ぶのだから、ほぼ実現は不可能と言える。




「いや、たった1つだけ方法があります」




 アリシアの提案にクーガーも昇も驚いた。

 どうあっても呼べる気が微塵もしないからだ。




「あるのか?あんな、ジャイアント・ゴッドを呼び出す方法が……」


「時とタイミングさえ合えば、可能です。星座間の引力と神力の流れを予測して、亜空間に繋がるゲートを空けて、そこから亜空間に漂う神力を大量に取り込めばどうにかなります」


「亜空間か……そいつは盲点だったな。たしかに理論的には無限に等しいエネルギーが得られるが……ちゃんと制御できるのか?神力と言っても神素と呼ばれる神力の前段階の状態で神力化しないと使えないだろう。それだけの力を制御できるのか?」


「愚問ですよ。わたしを誰だと思ってるんですか?その程度の力を制御できないなら人前で堂々と神を名乗ったりしません」


「そういや、そうだな。すまん」




 そこで昇が割って入った。



 

「なら、その星の巡りとかを図れば、解決なんだね」


「えぇ……ですが、その為には魔族との協力を取りつける必要があります」


「それはまた、どうして?」


「亜空間のゲートを開くにもある程度、起爆剤となる神力が必要とされます。残念ながら今のわたしでは成功率は50%です。より成功率を上げるには神力を持った彼らの協力が必須になります。今後の方針としては魔族がいると思われるノーティス王国の北部山脈に向かいたいと思います」


「つまり、魔族と協力してノーティス王国を倒すのかな?」




 昇は今までの流れからそのように考えた。

 だが……




「いいえ、転移できるならまだしも、地理的にノーティス王国を超えて魔族領に行くのは現実的ではありません。それに……それだと誠実に欠けます」


「誠実?」


「昇先輩。あなたが魔族だとしていきなり、現れた異邦の人間にいきなり心を開いて協力をしますか?」


「……しないかな」


「しないですよ。なので、彼らにはを渡すのが一番良いです」


「と言うと?」


「簡単な事です。。それだけの簡単な仕事です」



 それのどこが簡単なのか昇には分からなかった。




 ◇◇◇




 アカリ・ライトロード


 後世において、女神アカリと呼ばれる存在。

 聖女アリシアとは、旧知の仲である事以外、その出自等は一切不明な女神。

 一説ではベビダと敵対的な神格の1人と目されている。

 しかし、彼女の統治はベビダとは真逆と言えるモノであり、彼女が従える教会の運営や管理はかなり徹底して行われており、ベビダ教ほど黒い噂はない。

 寧ろ、ベビダと違い、教徒を諫めたり、教会を守る為に反目的な教徒を自らの手で断罪する等、ベビダ以上に人間と言うモノに深い関心を持っているとベビダ教の在り方を知る者達からは評される存在である。

 

 また、その戦闘能力は圧倒的であり、ベビダのみならず、その後に侵攻してきた他世界の神々すらも一蹴するように蹂躙し、圧倒的な戦闘力を発揮したとされている。

 その力は一度、この世界が存在する138億光年一帯が吹き飛んだとされるほどの力であり、吹き飛ばした直後に何事もなかったかのように世界を元に戻したと言われている。

 また、重度の邪神嫌いとして知られており、”邪神”や”邪神の眷属たる教徒”には一切、容赦ないと言う冷酷な一面も持っており、他世界の神々が侵攻してきた際、別の世界からの干渉を受け、その世界の邪神崇拝者があまりに邪悪だった為に邪神諸共、惑星を足蹴り1つで粉砕したと言われている。

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