とある休日
ピピピピッ
と、聞きなれたアラームの音で目を覚ます。
すると、隣にいる彼がもぞもぞと動き、スマホに手を伸ばした。
「おはよう」と声を掛ければ、「ん~」とまだ眠たそうな声がする。
今日は平日。しかし私は土曜日に出勤していたので、その振り替えで休みだった。
彼氏は出勤だが、まだ少し時間に余裕があるため、私はもう一度布団に横になる。
暫くしてもう一度アラームが鳴り、それをまた彼が止めた。そんなことを何度か繰り返して、漸く彼は目を覚ます。そして今度は彼の方から「おはよう」と声を掛けられるが、その声はまだ眠たそうだった。
そんな彼の準備は10分で終わる。男の人は準備が楽でいいなあと思いながらその様子を眺めていれば、いつの間にか準備は終わっていた。
「行ってきます」と言って家を出る彼を見送り、私はもうひと眠りつくことにした。
次に目が覚めたのはお昼頃で、ご飯は何食べようかなどと考えながら、とりあえず布団から出る。
まだお腹は空いてないから後ででいいかと思い、一先ずご飯は後回しにする事にした。
今日はこれからどうしようか。
このままダラダラと1日を過ごしてしまうのは勿体無いと思いつつ、これと言ってやりたい事がない。
とりあえず何処かへ出掛けよう。
このコロナ禍だし、最近は特に感染者も増えて家に引きこもりがちだったが、ずっと家にいては気が滅入ってしまうので気晴らしにドライブに行くことにした。
コロナが広まる前は、しょっちゅう1人でドライブに出かけて居たのだが、今は車から降りずにただドライブするだけでも何となく嫌であまり外へ出なくなってしまっていた。
前まで休日は予定がなくても絶対どこかに出掛けないと気が済まないタイプだったのに、今では特に用事が無いのなら無駄に外へは出たくないと思ってしまうようになった。
案外人ってちょっとした事ですぐに変わってしまうものなんだな。
久々にしっかりメイクをし、彼氏から貰ったお気に入りの腕時計をつけて、香水もほんのり香らせる。
こうして化粧したり、お洒落してる時が私が1番女で良かったと感じる時である。
さて、準備完了。
まるでサウナのように熱々になっている車に乗り込み、急いでエンジンをかければ、ぬるい風が出てくる。
エアコンの風量を最大まで上げ、徐々に冷たくなる風を感じながら今日はどこまで行こうかと考えを巡らせた。
タイムリミットは彼氏の仕事が終わるまでである。
何気にのんびりしている時間はあまりない。
悩んだ末、とりあえず気の向くままに車を走らせてみることにした。
さあ、出発だ。
たまには行き先を決めないのもいいのかもしれない。
…なんて、ちょっと無鉄砲すぎるだろうか。
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