第4話

 気が付いたら、女の部屋だった。驚いたのが、女の体格。平均的な男ぐらいの身長に、均整のとれた脚と胴。そして綺麗に筋肉のある腕。少し小さめの顔。それ以上は確認をやめた。服を着ていなかったから。


「ええと。ええとええと。黄色と白で」


「蒼白い感じだ。稲妻って分かるか?」


「かみなりっ」


「そう。雷だ。その色にしてみろ」


「うんっ」


 服を着ろといったら、服を着て出てきた。白地に花柄の、古すぎて一周回って最近のトレンドになったようなワンピース。子供のような印象を受ける。


「びりびり。こんな感じで、伸びるのかな」


 思考や知性も、子供のような印象を受ける。ただ、大きなワンピースを透けて貫通するような、おそろしく美しい身体。そして、彼女がノートブックに描いている画。


「びりびりっ」


 見せてくる画は。


「うまいな」


「ほんと。やったっ」


 写実的だった。空想の入り込む余地がない。写真と言われても納得してしまうような、完成度。これが、数分でできあがったのか。


「ありえねえな」


 子供のような知性。大人の身体。上手い画。何もかもが合致しない。


「なにが、ありえないの?」


「通信機器。あるか?」


 スタンで、携帯端末がやられていた。とりあえず味方に連絡しなければならない。


「あるよ。はい。どうぞ」


「ありがとう」


 電話を受け取って。

 気付く。


「おまえ。字が読めないのか?」

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