第6話2-3学内の反応
「お前、さっき女子と話していただろ」
3階の教室で自分の後列の席についている僕に、唯一のクラスの友達が耳打ちをしてきました。これが嫌なんだと思いましたが、言われるかどうかの心配から解放されたことは救いでした。僕は知らないふりをしました、そのニキビだらけの小柄な坊ちゃん刈りに対して。
「ん? 何が?」
「とぼけるなよ。同じクラスのあの子と話しているところを見たぞ」
「どこから見ていたのですか?」
「俺も同じ電車だったんだよ。そしてら、前にお前がいてたんだ」
友達はニヤニヤしながら教壇で群がっている集団にいる彼女に顔を振りました。普通なら言葉を窮するところかもしれませんが、僕はきちんと自己防衛のための言葉を用意していました。自信満々に自分の弁が立つことを証明しようと口を開きました。
「同じクラスの人と話しただけですよ。あの人、たぶん誰とも仲良くなれるタイプだと思います。だから、僕にも話してくれただけだと思います」
「それはそうか」
「ところで、あの人の名前は何だっけ?」
「そんなの俺がわかるわけないやろ。お前以外のクラスメイトの顔と名前はほとんど覚えていないぞ。そんなものを覚える暇があったら英単語を1つでも覚えるわ」
僕がこいつと仲がいいのはこういうところです。類は友を呼ぶというように似た価値観だし、彼女と違って合わせる必要がなくて自信を喪失する恐れもないし、勉強も僕と同じくらいできるから話が合う……友達の方が少し賢くて合わせてもらっています。僕は納得した友達とクラスの端っこで何もなかったようにいつもどおり仲良く戯れていました。
向こうでは彼女が友達と話しながら僕の方を指さされていました。おそらく彼女も僕が友達に言われたことと同じことでいじられているのでしょう。僕は面倒くさい予兆を感じましたが、向こうからの視線を横目で感じながら努めて目の前の友人に話しかけました。
特に何もなく昼休みになりました。
夏休み範囲の実力テストの返却が数学の授業で行われて、僕は平均点を超えていることに満足しました。友達が僕より高得点である日常風景に目をつぶりながらも、苦手な確率問題の差で負けたと思って勝手に精神を安定させようとしました。遠くの前の席では、彼女が満点を取って騒がれているけど、男世界と言われている数学で高得点をとったことで男人間といじられているけど、別に勝負していないしする予定もない。
体育の授業では僕はいつもどおり平均以下のことしかできずに、剣道で負け続けました。授業後に更衣室に向かうところに女性集団も帰ってきており、彼女がソフトボールでエースの活躍をして褒められている、あんなゴリラは女性じゃないといじられて彼女がゴリラの真似をして楽しそうに対抗している、そんなところの横を興味なさげに素通りしました。自慢ではないが、僕は自転車を3分漕いだだけで息が上がるくらい運動しません。
僕は休み時間は唯一の友達と話すだけですし、ほかの人に話しかけられても言葉が続かずに謝られる実力者です。一方で彼女は男女関係なく誰とでも話し、女子とは思えないと男子からからかわれるだけでなく、僕のような言葉が続かない人とも話を続けるという僕が謝りたくなるくらいの実力者です。僕がどれくらい会話の続かない人かと言ったら、その説明を今からするのを急に止めるくらいです。
そんな平和な午前が終わりましたが、午後になったら彼女とのことについて何かを言われるかもしれないのです。僕は逃走犯のように周りに目を光らせながら中腰の心持ちでした。僕が注意するに、気を緩めた時がつけ込まれるときです。
特に何もなく放課後になりました。
僕が教室の掃除終わりに図書室へ向かう途中、彼女が3階の窓から中庭を眺めていました。僕は見て見ぬふりしました、四六時中誰かと一緒に話していた彼女が一人で黙っている姿は見てはいけないと思いながら。それに僕は学校で彼女に関わるのを断っているので、そう自分に言い聞かせながら図書室がある1階に降りて行きました。
図書室は冷房が涼しいが、部活を引退した三年生が夏休み前より多くなったことにより暑く感じました。僕は本を探すふりをしながら空いている席を探しました、人見知りにより誰かと相席になるのが嫌なので。しかし、どこかしくも斑に埋まっており、自分と同じ考えの人が多いことに嫌な思いと自分が普通である安心感とを覚えました。
図書室で立ち読みしようとなんとなく本を手に取ると、時間に関する本がありました。時間とか宇宙とかに興味を持つ年頃なので、とりあえず開いてみました。僕の読書感想は、今まで読んだ内容と代わり映えしないということでした。
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