第4話 雪オブジェへのライトアップ


夜になると、冷え込みが激しくなっていた。シンシンと雪が空から舞い降りてくる。大通会場は、昼より、盛り上がっているような気もした。

 少し、大勢でいることもあって、前に進むことがなかなかできなった。やっと、抜け出した所に、プロジェクションマッピングのよって競走馬のように、馬が走っていく姿を目の前に現れた。タイミングよく、見れた。そして終了すると、アナウンスが流れてきた。

『次は、30分後の19時半より、開始します』

 ライトアップは、ひたすら点灯されているわけではなく、時間を区切って、映像が、雪の像に、鮮やかな色に変貌していく。そのたびに、歓声が聞こえることもあった。

どこでも、ライトアップされてるわけではなかったが、冬の幻想的な世界に浸れるような気がした。

 空から降ってくる雪のせいかもしれないが、また違う雪の像の新たな一面を見れた。また、雪が降っていないときも綺麗だろうが、降っている時も、やっぱりどこか寂しい雰囲気を味合わせてくれるような気持ちになった。

 段々と空から降る雪の量が段々と多くなっていく気がした。あまり、長くは居られそうにはない。

 「温かいワインもいけるな」

 隣で陽介は、ワインを温めたグリューワインを飲んでいる。私はアルコール全般が苦手なので、その気持ちに寄り添うことはできなかった。私の手にはホットミルクがあった。少し温かい気持ちだけは陽介と共有できた。

「雪、激しいな」

「そうだね」

「そろそろ、帰るか。もいいよな」

「うん」

雪の降り方が激しくなっていくので、私は雪の像をもう一度、見る勇気はさすがになくなっていた。雪の降りは更に激しさを増していく。駅に着くと、少し電車が遅れているようで、ホームに人が溢れいた。

『大変申し訳ございません。雪の影響で、少し電車が遅れています』

そんなアナウンスがホームに流れる。

「まだかな」と言いながら、10分ほどして、電車が来て、乗れることができた。

駅を出て、ホテルに向かうと雪は激しさを増していた。雪でこけそうになりながら、ホテルに向かって、小走りに歩いて行く。

ホテルについて、フロントの方に、「戻られてよかったです」と言われて、少し安心した。北海道の天候の変化は気をつけてくださいねと最後に言われて、部屋のカードキーを受け取り、部屋にたどり着いた。

 窓の外は、雪が激しく降っていて、どこか問題に巻き込まれなくてホッとしてしまった。

「先に、お風呂入っていい」

陽介はシャワールームに消えて行った。凄い風と雪の音が、窓から響き渡っていた。

「まだ、見てたの?お風呂入ったら」

「うん」

陽介がお風呂に入っている間、なぜか、ずっと窓の外を見ていた。なかなか、雪の降る世界を見ることがないので、気になって仕方がなかったのもある。あと、明日帰れるか少し心配で、早く止まないかなとも考えていた。

お風呂から上がってくると、もうすでに陽介は眠りに入っていた。急に、旅行に行くことになって、疲れたのだろう。私も寝ることにした。

朝起きると、雪は止んでいて、晴天だった。

「なあ、昨日の大雪で、雪まつりの雪像が、全部、潰れちゃったよ」

ホテルのテレビを見ながら、陽介が言った。

 私は拍子抜けしてしまった。

「えっ、そうなんだ」

「良かったね、昨日見れて」

「うん」

そのせいで、雪まつりが中止を発表した。ただけが人はいなかったので、良かったともいる。

 少し、雪に振り回された部分もあったが、雪まつりは楽しかった。

「ねえ、僕と結婚しない」

陽介の声が聞こえた。

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雪にデート 一色 サラ @Saku89make

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