第24話5-3:今度こそは守る
「それにしても、やはりその能力は異常に強いえ。やっかいだえ」
受け止める革命軍のリーダーは、後ろに足を滑らしながら厳しそうに歯を食いしばりしかめっ面になったんじゃい。
力勝負ではオンの方が上手のようじゃい。
しかし、革命軍のリーダーの能力がわからない限り、勝敗は何とも言えないんじゃい。
「そうかい」
嬉しくなさそうにオンは追撃をしようとしたんじゃい。
しかし、自分の右腕がないことに気づいて舌打ちをしたんじゃい。
それを見て革命軍のリーダーは悪巧みを顔をにやつかせたんじゃい。
「ここはやはり」
革命軍のリーダーはオンの無い右腕の方から脱出したんじゃい。
あっしのほうに、正確に言うとあっしの弟のほうに疾風の如く近づいてきたんじゃい。
弟が狙われましたが、直前でオンが革命軍のリーダーを蹴飛ばして方向転換させて、助けたんじゃい。
「同じことはさせない」
弟の前に盾のように立ちふさがりながら、オンは滑るように止まったじゃい。
向こうでは強風に飛ばされるドングリのように転がって止まるものがいたんじゃい。
しかし、そやつは何食わぬ顔で飛び上がり、ニヤつき続けるんじゃい。
「それはさっきのことかえ? それとも10年前のことかえ?」
いつもどおりの挑発に、あっしもイラついてきたんじゃい。
10年前に何があったのかは知らないが、相手の古傷にナイフでグリグリとえぐるような凄惨な陰湿さじゃい。
オンは黙って睨んでいるが、背中の呼吸の表情で怒りはわかったんじゃい。
「……」
「そりゃそうだよなえ。助けるよなえ。そうしないと力を発揮できないのだからえ」
革命軍のリーダーは奇妙なことを言い始めたんじゃい。
それは恐らく、オンの能力に関することだったんじゃい。
オンはだまり続ける。
「……」
「あなた様の能力は、助けてくれたものに与えた指輪から召喚され、その恩人を助ける時にすごい力を発揮する能力だえ。だから、10年前のように、あなた様の恩人である指輪の持ち主たちを皆殺しにしたら力を発揮できないえ」
それがオンの能力だったんじゃい。
だから、弟に指輪を与え、普段は弱かったのに急に強くなり、弟のピンチの時に指輪が光って知らぬ間にオンが現れたんじゃい。
パズルが解けたような爽快感だったんじゃい。
「俺を無力化させるために、関係ないものたちを殺しやがって」
いや、爽快感はまだなかったんじゃい。
目の前にいるこの革命軍のリーダーを倒さない限りは爽快感は半減以下じゃい。
オンは怒りすぎてどすの効いた声だったんじゃい。
「あれは大変だったえ。相手がピンチだと思う間もなく一瞬で暗殺しないといけないからだえ。それなのに今回はどっかの馬鹿が先にあの方様のピンチを作ってあなた様を召喚させてしまったえ」
革命軍のリーダーはオンの先にいる弟に視線を飛ばしたんじゃい。
それはヘラヘラとした気持ち悪い笑顔の中、目だけは笑っていなかったんじゃい。
どす黒いヘドロのような瞳だったんじゃい。
「今度こそは守る」
オンは再び虎のような飛びかかるポーズだったんじゃい。
あっしたちは虎の子みたいに大切にされているということじゃい。
革命軍のリーダーはヘドロのような血が混じった唾を地面に吐き捨てたんじゃい。
「そうかえ」
相手も身構えたんじゃい。
と、革命軍のリーダーは後ろから刀で頭を切られたんじゃい。
あっしたちの前にいたオンは気づかぬうちに高速で相手の後ろに回り込んで、どこかに隠し持っていた刀で斬りかかったんじゃい。
しかし、その刀を持ち主ごと体に取り込んだんじゃい。
「忘れていた……あいかわらず恐ろしい能力だな。たしか、あらゆるものを吸収する能力だっけ、お前の能力は?」
親指だけ持って行かれたオンは、右腕を切り取られたときと同様に筋肉で無理やり止血したんじゃい。
あの時に革命軍のリーダーがしたことも右腕の吸収かと思ったが、右腕自体は残っていたので違うと勘違いに気づいたんじゃい。
では、刃物も何も持っていないあの時はどうやってじゃい?
「そんなところだえ。合体・飲み込む・共有と言い方はなんでもいいんだえ。有機物も無機物も関係なく、全く違うものをくっつけて1つになるすごい力なんだえ。もちろん、この能力を体の一部にした者に付加させることもできるえ」
革命軍のリーダーはマグマみたいにボコボコと変形させた体の中から刀や銃や人の屍を取り出して、体の一部にしていたんじゃい。
恐らくその武器の中にオンの右腕を切り取ったものがあったんじゃい。
刃物の先に吸収の能力を付加させれば、簡単に切り取れそうじゃい。
――強いもの同士が対決するんじゃい――
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