第24話3-1:上陸


 気づいたら、浜辺に打ち上げられていた。

 周りには私と同じように打ち上げられたゾンビたちもいた。

 しかし、ミイラたちはいなかった。

「あれ?ここは?」

 そこはアニメとかの無人島漂流を思わせるような場所だった。浜辺に隣接して生い茂った森林とだだっ広い海が連なっていた。見渡す限り海と森林だけで建物がなく、人がいる気配も毛頭なかった。

「どうしよう」

 私は無人島漂流なんか初めてだ。いや、昨日今日と初めてづくしだ。私は頭を抱える力もなく、座りながら空を見上げた。

 そういえば、ゾンビ鳥は降ってこない。先ほどのピンチからは逃れることはできたようだ。それでも、今のピンチはどうしたらいいのだろうか?

 思えば私はミイラに助けてもらってばかりだった。指で砂に文字ならざるもの綴って思い返す。そして、強く決心した。

「よし、決めた。わたし、1人で頑張る」

 そこにクマのゾンビが現れた。

「助けてー!」

 私は猛烈ダッシュをした。オリンピックに出られるのではないかという自信を持つくらい早くなった。しかし、出たいのはオリンピックではなく、このピンチからである。

 と、ゾンビクマに先回りされた。

「いやー!」

 と、そのゾンビクマを蹴飛ばすモノがいた。

「今度は何―?」

 それ白ミイラだった。

「お前、何していたんだ?」

「それはこっちが聞きたいわよ」

 私は恐怖から解放されて涙が出た。

「俺か?ゾンビクマに追われていた」

 指さす先に数体のゾンビクマが走ってくる様子。

「もっとピンチー!」

 私は恐怖で涙が滝のように出た。

「おい、助けてくれよ」

「無理よ無理よ、こっち来ないでよ!」

私を追いかける白ミイラを追いかけるゾンビクマ。それは徒競走でエースランナーが前の人を追い抜かそうとしているようだった。そうなると、私は抜かれないように頑張って走る必要がある。

しかし、私はそこまで足は早くなかった。白ミイラに抜かされ、ゾンビクマたちにも抜かされた。私は最下位に転げ落ちた。

「って、誰も私を狙わないの!?」

 私は悲しさを少し感じながらラッキーと思った。手で膝をついてハァハァと息が上がった。私は少し休憩していた。

 と、私と同じように手で膝をついて休憩しているゾンビクマが横にいることに気づいた。私は心がひやりとした。そのゾンビクマも私と同じように心をひやりとしたのだろうか、いや、していない。

 恐る恐る横を向いた。目が合った。

「……いい天気ですね」

 グワァァー!

「きゃー!」

 私は1匹のゾンビクマと激しいデットヒート。ここで負けたら本当に死んでしまう。足がもつれそうになりながら走った。

 足がもつれた。コケた。向かってくる。

「いやー!」

 と、ゾンビクマが蹴飛ばされた。

「……白ミイラ?」

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