第16話2-4:出発

「――まったくもう。仲良くなってくれて嬉しいけどさ」

「あはは。ごめんごめん」

「あたしもつい。ごめんなさい」

 縮まった距離を物理的にとった私に対して、桃ミイラと赤ミイラの謝罪をしていたが、それはそれで申し訳なかった。

「いいじゃねぇか。お前もそういうのが好きなんだろ?」

「公共の福祉に反しない限りは大丈夫だ」

「どういう世界か教えてくれよ」

「さっきまで興味なかったけど、今は興味出てきたぞ」

 外野はうるさかったが、聞こえないふりをした。

「さて、黒フード退治のことだが……」

「何普通に話を進めているのよー!」

 これは聞こえないふりできなかった。

「何がだよ?そのために来たんだろ?」

「そうだけど、今はそうじゃない……いや、そうじゃないことはないけど、でもそうだけどそうじゃないというか……なんかちがーう!」

 私はどうでもいいことでパニクった。

「――どうしたらいいんだよ?」

「よし、黒フード退治の話しよう」

「……さっき止められたのだが」

 私は白ミイラの会話に乗ることにした。

「――では、この人間が新しく参加していることもあり、かつ最終確認のためにもう一度言うが、ここに集まったのはあの黒フードを倒すためだ」

「そうね。昨日はうちらも逃がしてしまったわ。ごめんね」

 桃ミイラは可愛い言い方で同意した。

「やつは不利になるとすぐに逃げる。それ自体は当たり前のことだが、やつの本拠地に行けば逃げられることもないだろう」

「いーんじゃない。それで。少なくともわしはいいと思う」

 黄ミイラはやる気無さそうに同意した。

「それで、やつの本拠地だが、あそこに小さく見える離れ小島だ。俺たちも皆あそこから逃げてきたから、それは確実だ」

「そうだな。それに対しては同意だ」

 黒ミイラは冷静に同意した。

「そして、そこへの行き方だが、この木で作った船で漕いで行くことになった。近代的な船は持っていないし、持っていても乗り方がわからない」

「興味はあるけど、今は実用的でないから、そうするしかないよね」

青ミイラは抑えられない知識欲を抑えながら同意した。

「だが、その道中に必ず敵が襲って来るが、それは俺たちの力で何とか倒すか逃げるしかないけど、みんな覚悟は出来ているか?」

「覚悟は昨日まではできなかった。でも、今日はできた」

 緑ミイラは気まぐれに同意した。

「じゃあ、そろそろ戦いに行くぞ。ここにいつまでもいたら敵に見つかってしまう。用意した船に乗り込むぞ」

「そうね、あたしも血は嫌いじゃないわ」

 赤ミイラはミステリアスな雰囲気で同意した。

「お前も大丈夫か」

「当たり前じゃない」

 私は当然のように同意した。

「よし行くぞ!」

 ――船は沈んだ

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